【完結】アシュリンと魔法の絵本
「……はちみつある?」
「はい。ごめん、入れてなかった」

 カバンからはちみつを取り出してアシュリンに渡すと、「ありがとー」と受け取ってふたを開け、スプーンを使いはちみつを入れた。

 くるくるとかき混ぜて、もう一度飲んだ。今度は甘くて飲みやすくなった。

「むぅ、ハーブティーをそのまま飲むのは、わたしにはまだ早いみたい」
「そのうち飲めるようになるだろうけどね」

 ラルフは牛肉のローストをぱくりと食べた。これにもロッティお手製のハーブが使われている。

 ベイリーフ、タイム、ローズマリー、ウインターセボリー、オレガノ、バジルなどを刻んで混ぜたものだ。

 牛肉のローストの付け合わせの野菜はパプリカ、ミニトマト、マッシュルーム、小タマネギ、カリフラワー、ゆでたジャガイモなど。

 塩コショウを振って焼いてある。ハーブの香りは食欲を刺激する。

「ロッティさんはハーブが好きなんだね」
「そうみたい。わたし、三歳くらいに初めておばあちゃん家に行ったんだけど、その頃からずっとだよ」
「趣味なのかな……?」
「んーと、おばあちゃん、育てたハーブでお仕事もしているよ」

 意外そうに目を(またた)かせるラルフに、アシュリンはリーリクルでロッティがどんなことをしていたかを教えた。
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