【完結】アシュリンと魔法の絵本
 それから、アシュリンとラルフはいろいろな話をした。

 これまでのこと、これからのこと、いろいろなことを。

「あっ、しまった! お星さまでおばあちゃんたちを驚かせてない!」

 魔法のこんぺいとうはずっと、アシュリンのリュックの中で眠っている。

 この食べた色に髪色が変わる魔法のこんぺいとうで驚かせるつもりだったのに、としょんぼり肩を落とすアシュリンを見て、ラルフはくすっと笑い声をもらす。

「魔法のリュックに入っているんだから、また今度来たときに驚かせればいいじゃないか」

「……今度? ラルフも一緒にきてくれるの?」

 しょげていたのがウソのように、アシュリンがぱっと顔を上げた。

 その瞳にキラキラと期待の星が宿っているのを見て、ラルフは思わず「う、うん」と返事をする。ルプトゥムが「わっはっは」と笑い出して、二人の視線が集まる。

「仲が良いのは素晴らしいことだと思わないか、ご主人よ」
「……なんというか、純粋な好意を向けられるって、不思議な気分」

 きっとアシュリンの中では、ラルフとずっと一緒に旅をすることが決定しているのだろう。

 偶然会って、ひょんなことから一緒に旅をすることになったアシュリンとラルフ。

 使い魔のノワール、ルプトゥム、そして彼女の旅を記録する不思議な本。

「ね、ね、神殿都市に行くまでに、他のところにも寄ろうね。お土産話いっぱいつくって、ラルフのお父さんとお母さんに話そうよ! きっと楽しいよ」
< 139 / 141 >

この作品をシェア

pagetop