【完結】アシュリンと魔法の絵本
 アシュリンに問われて、ラルフは家族のことを思い浮かべる。いそがしい人たちだったが、ちゃんと自分のことを考えて愛していると伝えてくれた。

 自分はどうだったろう? と目をちょっとだけ伏せて両親や自分のことを気遣(きづか)ってくれた人たちにきちんと愛を返せていただろうか? と考え込む。

 そして、あまり伝えられていなかったのではないか? と結論を出した。

「うれしい……と思う。……そうだね、伝えられるようにがんばってみようかな」
「良いと思う! きっとみんなよろこぶよ」

 ぱぁっと明るい笑顔を浮かべるアシュリンに、ラルフは眉を下げた。そして二人は再び食べ物を口に運び、お腹いっぱいになったところで眠くなったのかふわぁ、と大きなあくびをする彼女を見てラルフは立ち上がる。

「今日はもう休もう。明日から、また歩くんだし」
「うん、わたし、もうねむい……」

 うとうとと眠そうに目をこするアシュリン。食べ終えたものを魔法できれいにしてから、リュックの中に入れていく。

 全部入れてから、ラルフが立ち上がり彼女の頭をぽんと撫でてから「おやすみ」と小さく言葉にしてからテントを出ていった。

 アシュリンはラルフを見送り、パチンと指を鳴らす。パッと椅子とテーブルが消え、代わりにベッドが現れ、そのベッドにバフっとダイブしてそのまま目を閉じる。
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