【完結】アシュリンと魔法の絵本
「おはよう、ラルフ、ルプトゥム!」
「おはよう。みんな早いね」
「おはよう」

 ラルフはまぶしそうに目元を細めて太陽を見上げる。ルプトゥムもぐーんと伸びをしてから、ふんふんと鼻を鳴らす。

「どうしたの?」
「あまい匂いがする」

 ルプトゥムがアシュリンに近付いていく。あまいにおい? と首をかしげて、ぽんっと手を叩く。

 そして、思い浮かんだあまい匂いのものを取り出すと、ラルフがびっくりしたように目を丸くした。

「それ、どうしたの?」
「朝起きたら、まくらもとにあったの!」
「昨日の夜はなかったってこと?」

 こくりとうなずくと、ラルフが考えるように口元に指をかけてゆっくりと口を開く。

「ぼく――昨日、アシュリンと夜空を散歩する夢を見て、お星さまをその小瓶に入れたような気がする」
「え、私もおんなじ夢を見たよ!」

 二人で同じ夢を見ていたことに、アシュリンは興奮(こうふん)したようにぎゅっとラルフの手を(にぎ)った。

「こういうことってあるんだね!」
「う、うん、びっくりしたね」

 朝のすがすがしい空気を肌で感じて、アシュリンは顔を上げた。木の下にテントを張ったので、木陰(こかげ)になっていて涼しい。

「朝ごはんの前に、ちょっとだけ身体を動かさない?」
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