【完結】アシュリンと魔法の絵本
「ルプトゥムも、ラルフが生まれたときから覚えているの?」
「使い魔は覚えている。主人が生まれた日だからな」
そうなんだー、と興味深そうに目を使い魔たちに視線を注いでいると、ノワールもルプトゥムも呆れたように息を吐いてから、ノワールが口を開く。
「アシュリンが生まれたのは満月の日にゃ。とっても大きな満月で、さわやかな風が吹いていたにゃ」
「ラルフが生まれたのは新月の日だ。真夜中だったが、ミッチェルがずっと起きていたな。泣き声が聞こえるといそいでアグネスのところへ駆け寄り、ラルフを見て涙を流していた」
「え、本当に?」
「本当だとも。我に『息子をよろしく頼む』と深く頭を下げるほどにな」
知らなかったことを聞いて、アシュリンとラルフは顔を見合わせた。やはりラルフの両親は彼のことを愛しているのだと感じ、彼女はにこにこと笑いながらサンドウィッチを食べる。
「……そっか」
「アシュリンは、アンディがお気に入りだったにゃ」
「お兄ちゃん?」
「ハイハイできるようになってから、ずーっとアンディを追いかけてたにゃ」
……まったく覚えていない。兄のことが大好きでかまってほしくて『いっしょにあそぼう!』と遊びに誘ったことは覚えているが、ハイハイをしている頃の記憶なんてないので、ノワールの言っていることには首を捻るしかない。
「お兄ちゃん、いやがってなかった?」
「どちらかと言えばよろこんでたにゃ」
「使い魔は覚えている。主人が生まれた日だからな」
そうなんだー、と興味深そうに目を使い魔たちに視線を注いでいると、ノワールもルプトゥムも呆れたように息を吐いてから、ノワールが口を開く。
「アシュリンが生まれたのは満月の日にゃ。とっても大きな満月で、さわやかな風が吹いていたにゃ」
「ラルフが生まれたのは新月の日だ。真夜中だったが、ミッチェルがずっと起きていたな。泣き声が聞こえるといそいでアグネスのところへ駆け寄り、ラルフを見て涙を流していた」
「え、本当に?」
「本当だとも。我に『息子をよろしく頼む』と深く頭を下げるほどにな」
知らなかったことを聞いて、アシュリンとラルフは顔を見合わせた。やはりラルフの両親は彼のことを愛しているのだと感じ、彼女はにこにこと笑いながらサンドウィッチを食べる。
「……そっか」
「アシュリンは、アンディがお気に入りだったにゃ」
「お兄ちゃん?」
「ハイハイできるようになってから、ずーっとアンディを追いかけてたにゃ」
……まったく覚えていない。兄のことが大好きでかまってほしくて『いっしょにあそぼう!』と遊びに誘ったことは覚えているが、ハイハイをしている頃の記憶なんてないので、ノワールの言っていることには首を捻るしかない。
「お兄ちゃん、いやがってなかった?」
「どちらかと言えばよろこんでたにゃ」