【完結】アシュリンと魔法の絵本
「まったく覚えてないや」
「赤ちゃんの頃ってそうだよね!」
覚えていないのが普通なのだと、アシュリンはホッとしたように胸を撫でおろす。
「あっ、そうだ! ごはんも食べ終わったし、これ、食べてみない?」
アシュリンはテーブルに置いてあるこんぺいとうの小瓶を、ひょいと持ち上げる。彼女の提案が少し意外だったのか、ラルフが「それはきみのものでしょ?」ときょとりとしていた。
「うん、わたしのものだから、わたしが好きな人たちにあげたいの」
こんぺいとうの入った小瓶をずいっとラルフに見せる。あまりにも近くて――いや、アシュリンの言葉に、ラルフはこんぺいとうと彼女を交互に見て、ふっと笑みを浮かべる。
まだ出会って時間も経っていないのに、自分が彼女の『好きな人たち』に入っていることにじんわりと心が温かくなった。
「みんなで食べよ。ノワールとルプトゥムも!」
「本来使い魔は食事、いらないのだが……?」
「食べられないわけじゃないでしょ? ノワールは人間の食べ物好きだよ」
「にゃあ」
本来、使い魔は主人の魔力を食べる。だから、人間が食べるものは口にしない。だが、ノワールは人間の食べ物を好んだ。ペットのネコには人間の食事をあげることはダメだが、黒猫のように見えるだけで使い魔は動物ではない。
赤ちゃんが生まれるときに一緒に生まれる――精霊のようなものだ。
使い魔の寿命は主と同じで、主と同じ時間をともに歩み、主を守るのが仕事である。
なので、使い魔のノワールとルプトゥムが人間と同じものを食べても、問題はない。
「ダメ?」
「ルプトゥム、どうする?」
「では、いただこう」
「赤ちゃんの頃ってそうだよね!」
覚えていないのが普通なのだと、アシュリンはホッとしたように胸を撫でおろす。
「あっ、そうだ! ごはんも食べ終わったし、これ、食べてみない?」
アシュリンはテーブルに置いてあるこんぺいとうの小瓶を、ひょいと持ち上げる。彼女の提案が少し意外だったのか、ラルフが「それはきみのものでしょ?」ときょとりとしていた。
「うん、わたしのものだから、わたしが好きな人たちにあげたいの」
こんぺいとうの入った小瓶をずいっとラルフに見せる。あまりにも近くて――いや、アシュリンの言葉に、ラルフはこんぺいとうと彼女を交互に見て、ふっと笑みを浮かべる。
まだ出会って時間も経っていないのに、自分が彼女の『好きな人たち』に入っていることにじんわりと心が温かくなった。
「みんなで食べよ。ノワールとルプトゥムも!」
「本来使い魔は食事、いらないのだが……?」
「食べられないわけじゃないでしょ? ノワールは人間の食べ物好きだよ」
「にゃあ」
本来、使い魔は主人の魔力を食べる。だから、人間が食べるものは口にしない。だが、ノワールは人間の食べ物を好んだ。ペットのネコには人間の食事をあげることはダメだが、黒猫のように見えるだけで使い魔は動物ではない。
赤ちゃんが生まれるときに一緒に生まれる――精霊のようなものだ。
使い魔の寿命は主と同じで、主と同じ時間をともに歩み、主を守るのが仕事である。
なので、使い魔のノワールとルプトゥムが人間と同じものを食べても、問題はない。
「ダメ?」
「ルプトゥム、どうする?」
「では、いただこう」