【完結】アシュリンと魔法の絵本
 休憩スペースの前に、誰かいる。

 それはアシュリンと同じレディシュの髪を持ち、緑とオレンジのミックスカラーの瞳の少年だった。

 彼はアシュリンに気付くと、大きく手を振り自分の存在をアピールする。

「お、お兄ちゃん!?」
「アシュリン! ひさしぶり!」

 休憩スペースの前に立っていたのは、兄のアンディ・フォーサイスだった。そして、彼の使い魔である黒ヒョウのニーグルムもアシュリンたちに視線を向けた。

 ノワールがぴょんとアシュリンの肩に乗り、ニーグルムとにらめっこを始める。これはいつものことなので、アシュリンもアンディも気にしていない。

「うん、ひさしぶり、お兄ちゃん! 元気だった?」
「もちろん元気だったよ。アシュリンが旅立ったって聞いて、いつか会えるんじゃないかなって思ってたんだ!」

 アシュリンはアンディにも手紙を書いていた。本に選ばれて旅立ったことも、ラルフと出会って一緒に旅をしていることも手紙に書き――彼の目を丸くさせた。かわいい妹が旅立ったと知り、アンディは彼女に何度も手紙を送り、近況を教えて合っていたのでこうして彼女を待つことができた――のだが、

「すっかり大きくなって……」
「いやいや、大きくなったのはお兄ちゃんのほうでしょ!」

 自分の予想以上に背が高くなったアンディに、アシュリンは思わずツッコんだ。
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