【完結】アシュリンと魔法の絵本
なんと、その浮かび上がった挿絵は動いているのだ。
風で揺れている木々や、ぴょこんと跳ねるうさぎ、アンディに撫でられて心地よさそうに目を閉じるニーグルム。
アンディが目にしたものを、そのまま挿絵として閉じ込めているように見えて、アシュリンは思わずパチパチと手を叩いた。
『どうですか、兄の記録は』
「すっごくすてきだよ!」
たまにわからない文字もあったが、本に聞けば教えてくれるので読み進めることができた。アシュリンはすっかりと夢中でアンディの冒険エッセイを目で追っていく。
三年間の記録だ。一日で読める本ではない。だけど――アンディが家族を恋しく思ってくれていることに、アシュリンの胸はじわじわと温かくなった。数ページ読んだところで、ぐぅーっと彼女のお腹が鳴った。
それは静かな室内にとてもよく響いて、アシュリンはかぁっと顔を赤らめた。本をパタンと閉じて、別の場所に座って彼女の本を読んでいるアンディに近付いていく。
彼は本に視線を落としているふりをしているようで、笑いをこらえるように肩を震わせていた。
「……聞こえてた?」
「聞こえてた。お腹空いたなら、ごはんにしようか」
「うん!」
風で揺れている木々や、ぴょこんと跳ねるうさぎ、アンディに撫でられて心地よさそうに目を閉じるニーグルム。
アンディが目にしたものを、そのまま挿絵として閉じ込めているように見えて、アシュリンは思わずパチパチと手を叩いた。
『どうですか、兄の記録は』
「すっごくすてきだよ!」
たまにわからない文字もあったが、本に聞けば教えてくれるので読み進めることができた。アシュリンはすっかりと夢中でアンディの冒険エッセイを目で追っていく。
三年間の記録だ。一日で読める本ではない。だけど――アンディが家族を恋しく思ってくれていることに、アシュリンの胸はじわじわと温かくなった。数ページ読んだところで、ぐぅーっと彼女のお腹が鳴った。
それは静かな室内にとてもよく響いて、アシュリンはかぁっと顔を赤らめた。本をパタンと閉じて、別の場所に座って彼女の本を読んでいるアンディに近付いていく。
彼は本に視線を落としているふりをしているようで、笑いをこらえるように肩を震わせていた。
「……聞こえてた?」
「聞こえてた。お腹空いたなら、ごはんにしようか」
「うん!」