【完結】アシュリンと魔法の絵本
「食べてもいい?」
「いいよ、待たせてごめんな」
「ううん、じゃあさっそく……!」

 子ども用のフォークとナイフでフレンチトーストを一口サイズに切り、ぱくりと口に運ぶ。

 バターの風味と、しみ込んだ卵液が口の中にじゅわっと広がり、アシュリンは頬に手をそえて「んー!」と幸せそうに口を閉じたまま声を出す。

「おいしい?」

 こくこくとなんどもうなずくのを見て、アンディはホッとしたように目元を細めた。

 彼もフォークとナイフでフレンチトーストを切り分け、ぱくりと食べる。

 その様子を眺めていたアシュリンは、兄の一口が自分の何倍もあることに驚いた。

「お兄ちゃん、おくち大きいね?」
「そりゃあ、アシュリンよりは大きいよ」

 ナイフを置いて、ひらりと手を振るアンディに、アシュリンはサラダを勧めた。キャベツの千切りとレタス、赤いパプリカのサラダだ。ドレッシングはシーザードレッシング。

 以前、ラルフと一緒に買い物したとき、彼にお勧めされたドレッシングだ。チーズの風味で野菜もおいしく食べられるようになった。

 そのことを話すと、アンディは感心したようにアシュリンを見る。

「なるほどね。それで食べられるようになったのか」
「それもある……かな?」
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