【完結】アシュリンと魔法の絵本

アシュリンとお兄ちゃん。 7話

 休憩スペースで休むのは久しぶりだったので、ぐっすりと眠れた。気が付いたら朝で、アシュリンはびっくりして飛び起きる。

「もう朝!?」
「おはよう、気持ちよさそうに寝てたぞ」
「おはよう! あ、もう朝ごはんが用意してある!」

 ほかほかと湯気が見える。白いパン、目玉焼きにウインナー、サラダにコーンスープ。食欲を刺激(しげき)する香りに、アシュリンは「わぁ!」と声を上げた。

「おいしそう! ……って、あれ? たくさんあるね?」
「せっかくだから、みんなで食べようと思って」
「みんなで?」

 アシュリンは魔法で服を着替えてから、テーブルに近付く。椅子に座ってアンディを見上げると、彼は扉に向かって「もういいぞ」と声をかける。

 すると、ガチャっと扉が開き、ディータとラルフが姿を現した。

「おはよう、二人とも。よく眠れたかい?」
「おはようございます。……おはよう、アシュリン」
「おはようございますっ!」

 ディータとラルフはアシュリンとアンディに挨拶(あいさつ)をしてから、小屋の中に入る。

 アンディはアシュリンの(となり)、ラルフはアシュリンの真正面、ディータはアンディの真正面になるように座り、三人はじっとアンディを見つめた。

「――どうぞ、()()がれ」
「いただきます!」

 それぞれナイフとフォークを手にして、それぞれぱくりと食べ始める。

 アシュリンはまず、コーンスープに手を伸ばした。

 取っ手付きのお(わん)に入っていたので、取っ手を持ちふーふーと息を吹きかけて、口に入れる。とたんに広がるコーンの甘さに、彼女はぱぁっと目を輝かせてアンディを見る。

「うまいか?」

 こくりと飲み込んでから、何度もうなずいた。
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