御曹司さま、これは溺愛契約ですか?
気を取り直して布団から出ようとするが、その前に翔に確認したいことがあった。それは今日、これからのことについて。
「翔さん、今日はお仕事おやすみなんですよね?」
「ああ、だから家事が終わったら車で送ってやる。雨は上がったが、まだ風が強いしな」
「あ、いえ、私の送迎はいいんですが……。もし車を出して頂けるならお願いしたいことがあるんです」
美果の提案に、翔が「ん?」と首を傾げる。
「そろそろお米とか洗剤とか、ちょっと重いものをまとめて買っておきたくて……」
美果は車の免許を所持していないし、当然車も持っていない。そのため米や洗剤といった重いものや大きいものを購入すると、持ち帰るのがかなりの重労働となる。一応スーパーの宅配サービスや通販を利用する方法もあるが、どれも登録が必要だし購入代金とは別に利用料や送料が発生する場合も多い。
さらにこのお洒落なマンションのエントランスに常駐する、綺麗な笑顔とピンと伸びた背筋が美しいコンシェルジュに、米や洗剤を運んで息切れしている姿を見られるのもちょっとだけ恥ずかしい。
だがもし翔が買い出しに車を出してくれるのならば、地下駐車場からエレベーターに乗れるので色んな問題が一気に解決する。
そう考えて出した提案に、翔がゆっくりと頷いてくれた。