御曹司さま、これは溺愛契約ですか?

「美果、自分でできるか?」
「え……?」

 翔にそっと訊ねられたので、一瞬その意味を考える。けれどすぐに彼の意図に気づき、ふるふると首を振る。

 無理に決まっている。
 自分で自分を慰めて熱を発散するなんて。

「そうか。……なら俺が触ってやる。痛かったら言えよ?」
「翔さ……ん」
 
 優しく微笑んだ翔が、再び美果の唇を奪いながらドレスの裾をたくし上げる。そのままショーツの中に忍び込んできた指先が股の間を滑り、敏感な場所にゆっくりと絡む。本当は猛烈に恥ずかしい美果だったが、自分ではこの熱をどうにもできない。

「美果、痛くないか?」

 自分からは見えない場所を優しく撫でながら訊ねられ、こくこくと頷く。

 大丈夫、痛くない。むしろ翔が撫でてくれる感覚が気持ちいい。余計な刺激はなく、ただ美果の身体に必要な快感だけを与えてくれているとわかる。

「あっ……や、翔さん……っ」

 濡れた場所を何度も撫でられた美果は、翔の手で初めての快感を味わった。身体の奥が甘く痺れて痙攣すると、思考がぼんやりと霞んで何も考えられなくなる。

 無意識にじわりと涙が滲む。けれど嫌なわけではなく、ただ気持ちいい。胸の奥がほんのりと温かくなる。

 そしてそれと同じぐらいに下腹部の奥が疼く。まるで指だけでは足りないと言わんばかりに、全身がきゅぅ、と甘く啼く。

「翔、さん……」

 本当の美果はもっと深い場所に翔を受け入れたがっている。

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