御曹司さま、これは溺愛契約ですか?
「でも、今夜はしない」
「え……」
「俺だって出来るなら今すぐしたい。中途半端じゃなく、この服を全部脱がせて、美果の身体を隅々まで撫でて、奥まで挿れて激しく突いて、いっぱい啼かせて気持ち良くしてやりたい。『俺』を覚え込ませて、俺以外の奴のことなんて二度と考えられなくなるぐらいまで美果を抱き潰したい」
「ちょ、え……え……っ!?」
確かに熱を散らすにはこのまま身体を繋げるのが一番手っ取り早くて確実だし、美果自身も翔になら何をされてもいいと思っている。
だが翔の頭の中は美果の想像の十倍ぐらい激しく淫らなことばかり。翔が熱烈な視線と口調で語る言葉に、思わず絶句してしまう。
「けど、薬でまともな判断が出来ない今の美果を抱くことは出来ない」
「……」
「俺は美果の初めても大事にしたい。ちゃんと俺を好きになってもらってから抱きたいんだ」
美果の想像以上に、翔は美果を大事に思ってくれているらしい。おそらく先日美果に告白したときに、無理矢理キスしてしまったことを猛省しているのだろう。
けれどそんなこと気にしなくていい。
だって、美果はもう。
「好き……私、翔さんのこと好きだもん」
「……美果」
美果にとっての天ケ瀬翔は『必要以上に関わってはいけない相手』だった。いついかなるときもキラキラしている完璧な王子様は、美果とは住む世界が違う雲の上の存在だった。