御曹司さま、これは溺愛契約ですか?

 その代わり、時が来たらもう容赦はしない――そう宣言されたので、少しだけ恥ずかしい気分を味わいながら顎を引く。翔は照れる美果に優しげな笑顔を向けてくれたが、それがふといじわるなものに変わった。

「今夜はたくさん撫でてやる。美果の好きなところも大体わかった」
「え……あ、あの……」

 また恥ずかしい宣言をした翔の指先が、同じ場所を執拗に撫でるよう淫らに動く。

 先ほどまでの遠慮がちなものとは違う。美果が本音をさらけ出して「好きだ」と口にしたことに安堵したのか、それともこうやっていじわるに責めるのが翔の夜の姿なのか、彼は美果が恥ずかしがるような愛撫ばかりする。

 けれどそれは美果も同じ。

 最初は翔に恥ずかしい姿を見せたくない、嫌われたらどうしようと珍しく弱気なことばかり考えていたのに、今はもう翔の導きに従うように――翔が秘めていた本性に呼応するように、彼の胸に縋ってしまう。

「あ、だめ……っ」

 際どい場所や敏感な部分ばかりを丁寧に撫でられ、お腹の奥で増幅した快感の波がジワジワとせり上がってくる。

 こんなにも早く次の快楽を極めてしまうことに羞恥心を覚えても、恐怖感を覚えて逃げ腰になっても、翔の指はもう止まってくれない。

「あぁっ……!」

 びくっと身体が飛び跳ねた瞬間、激しい快感に襲われた。強すぎる快楽に導かれるように、下半身に力が入る。

 そこから急激に力が抜けてシーツの上に身体が沈むと、慣れない絶頂の連続に肩で息をしてしまう。

 だが不思議なことに、先ほどまでずっと全身に纏わりついていた強い灼熱感が消えている。どうやら熱を放出したおかげで、美果の身体は危機を脱したらしい。

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