御曹司さま、これは溺愛契約ですか?
7. 朝日が眩しいので
カーテンの閉じ方が不十分だったのだろうか。瞼の上にチカチカと朝の光が当たる気がして、ゆっくりと目を開く。
半覚醒のままぼんやりと視線を動かした美果は、やはりカーテンの隙間から差し込む朝日が顔に当たっていることと、ここが自分の家ではないことに気がついた。
「え? ……っ!?」
背中にぬくもりを感じて首を動かすと、背後に翔がいることにも気づく。しかしその距離は近いなんてものではない。完全密着状態だ。
美果の身体を抱きしめるように眠っている翔は、まだ夢の中にいるらしい。寝息のリズムを耳元に感じると、未だしっかりと働いていない頭がじわじわと冴えてくる。心臓もどきどきとうるさく動き始める。
少しでも動けば翔を起こしてしまう気がしたので、身体は出来るだけ動かないように思考だけを働かせる。
あれから誠人たちの元へ向かった翔は、部屋を出る直前、美果に『先に寝てていいぞ。動けるなら風呂も使っていい』と言い残していた。
美果は少し休んでからシャワーを済ませたが、慣れないパーティと恐怖の体験、体調不良とはじめての行為を一度に経験したせいか、翔の帰りを待っている間に自然と眠ってしまっていた。翔が帰ってきたときに一度声をかけられた気がしたが、結局覚醒には至らず、気がつけば朝になっていた。
美果の腰に腕を絡め、優しく抱きしめてくれる翔の体温に緊張する。ゆるい抱擁に拘束感はないが、それでいて決して逃がさないという意思表示のようにも思える。翔は昨日、この腕とこの手で美果を慰め、この指先で敏感な場所を撫で……
(ふわぁああ、あぁああうあうぁぅ……)
一気に色々と思い出して、悲鳴をあげそうになるのを必死で押さえ込む。