御曹司さま、これは溺愛契約ですか?
「言っただろ? 俺が全部、教えてやるって」
「……はい」
「だからもし痛くて耐えられなかったり、怖くて無理だと思ったらいつでも言ってほしい。途中でも止めるし、我慢しなくてもちゃんと気持ち良くなれる方法を教えてやるから」
「わかりました」
翔の台詞のすべてを理解して頷くと、微笑んだ翔に唇を重ねられる。
これまでのどんなキスよりも優しく丁寧な口付けに自然と目を閉じて身体の力を抜くと、翔の指先がそっと美果の服にかけられた。
* * *
「美果、疲れただろ? 水飲まないか?」
「ん……」
優しく頭を撫でられながら声をかけられたのでふと目を覚ますと、翔が美果の顔をそっと覗き込んでいた。
それほど深く眠っているわけではなかったが、ぼーっとしているうちにウトウトしていたらしい。布団で身体を隠しながらベッドの上に起き上がると、翔がミネラルウォーターを渡してくれた。
喉が渇いていたので三分の一ほどを一気に飲み干すと、様子を見ていた翔にそっと頬を撫でられる。その表情はいつになく嬉しそうだが、先ほどまでの激しい行為を思い出した美果は自然と照れて俯いてしまう。
翔が美果に向ける感情はどれも甘く優しくて、最初の印象とはまったくの別物に変わった気がする。だが美果を特別扱いしてくれる翔には、与えられるばかりで何も返せていない。これではせっかく恋人同士になっても、翔に申し訳ないと思うばかり。
「翔さん。私、もっとお勉強しますね」
「ん?」
「だって……私だけ、その……気持ち良く、してもらってばかりで……」