御曹司さま、これは溺愛契約ですか?
しどろもどろに視線を彷徨わせる美果の肩を掴むと、そのまま身体を抱き上げる。布団ごと美果の身体を腕に包んでベッドに倒れ込むと、そのまま彼女のこめかみにキスを落とす。頼むから、急に傍から消えないでほしいと訴えるように。
「翔さん……ち、近いです」
「俺はもっと近くでもいい」
目を閉じて美果の文句を撥ね退けると、腕の中から「うう」と困ったような声が聞こえる。それすら可愛い。
美果は昨日が『初めて』だった。美果の身体や仕草や反応をちゃんと見たくて明るいうちに抱いたが、そのぶん手加減はした。本当はもう一度、二度としたかったところを、一気に色々経験して困っている姿に免じて我慢した。
けれど本当は、もっと抱きたい。
朝からしたいと言ったら嫌がられるだろうか。美果の敏感な場所を撫でたら怒られるだろうか。
「美果……」
「……っん」
そう思いながら布団の隙間から手を入れ、パジャマの上から美果の腰を撫でる。ついでにお尻にも少し触れる。それだけでぴくんと飛び跳ねるところがまた可愛い。
「……翔さん、だめです。寝ないなら、私もう起きますよ」
「いや、もう少し寝る」
本当はもっと撫でたいし、悪戯したいし、可愛がりたい。キスもしたいしそれ以上もしたい。けど拒否されて逃げられたくないので、抱きしめるだけで耐えているのだ。この上離れられるなんて冗談じゃない。