御曹司さま、これは溺愛契約ですか?

「サンドバーとかサンセットビーチにも行きたいだろ? レンタカー借りてあるから、この辺りを回ってランチを取ったら、そっちにも行ってみよう」
「……はい」
「その前に何か飲むか。喉乾いただろ?」

 九月末でもちょっと暑いもんな、と微笑む翔に縮こまりながら再度頷く。

 このワイキキビーチを有するオアフ島内は、公共の交通手段も十分に確保されている。だが美果が時間や場所を気にせず自由に写真を撮って回れるよう、今回翔はレンタカーを借りてくれているのだ。

 ちなみにハワイでは日本の自動車免許があれば車の運転が可能らしいが、翔は国際運転免許も取得しているらしい。

 いつの間にか購入してきたブルーハワイアンを「ほら」と差し出す翔の姿を見て思う。

 アロハシャツなんて絶対に似合わないと思っていたのに、顔もスタイルもいいから結局何を着ても似合ってしまう。サングラスなんてかけたら危ないお兄さんに見えると思ったのに、不思議とお忍びで旅行に来ているモデルにしか見えない。

 そんな翔が美果のために旅行を計画して、車を用意して、飲み物を買ってきてくれるなんて……完璧な王子様が今日もキラキラすぎて、ちょっとだけ悔しい。



   * * *



 ワイキキビーチの写真を取り、近くのカフェでランチを済ませた後、翔の運転する車でオアフ島のいろんな場所を見て回る。

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