御曹司さま、これは溺愛契約ですか?

3. 浮かれてハワイアン


 ハワイ旅行二日目。

 美果と翔は宿泊先のホテルがあるオアフ島とは別の島、ハワイ島を訪れていた。この島には世界遺産のキラウエア火山もあるが、今回はそこには足を向けず、美果が気になるビーチや観光地を中心に写真を撮って回ることに決めた。

 到着してから知ったのだが、なんと翔はハワイ島のリゾートホテルにも一泊分の宿泊予約をしてくれていたらしい。疲れたら休んでもいいし、泊まってもいいし、別に使わずオアフ島に戻ってもいい、という発言にはびっくり仰天したが、せっかくなのでそのホテルにも立ち寄ることにした。

「わぁっ……! きれい……!」

 翔が予約してくれていた別のホテルは、最初のホテルとはまた違う豪華さと優雅さだった。

 窓の向こうに広がる青は、エメラルドグリーンよりもマリンブルーの輝きが強く、白浜から沖のほうまで透明感のある水面が続いている。天候や時間による変化もあると思うが、オアフ島とは異なる表情を見せる大海に美果はまた心を奪われた。

 しかも目の前の砂浜はホテルが有するプライベートビーチらしく、人がそれほど多くないのでゆっくりと過ごせそうだ。ホテルと浜辺の間には宿泊客だけが使えるプールまで完備されており、こんなに贅沢な部屋に泊まらない選択肢なんて考えられなくなってしまう。

 とりあえず泊まるかどうかは後で考えよう。水着に着替えて上からTシャツとショートパンツを重ねた美果は、カメラを手にプライベートビーチへ繰り出した。

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