すずのおはなし

杜若色のすず

俺はすずだ。
かずの子どもだ。


お母さんは元気だ
毎日楽しそうだ
俺は嬉しい

でも今日は嫌な感じがするよ
雨もいっぱい降っている

なんか嫌なやつがいるんだ
おかあさんに悪いことを
しようとしてるんだ

猫ってやつはわかるみたいだ
毛がじわじわ逆立つ
猫ってやつだからだな

あいつが来た
家の前にいる
お母さんに何かする気だ



ゆるさないぞ

おれにくろいかたまりが
めらめらべとべとしてる

おまえをくろいそこに
つれていくぞ

ゆるさないぞ




「すず」
「すず」

かずの声が聞こえた気がする


そんなことするなって
俺はまた白猫に戻れた

しかたねぇ
あいつは逃げた
いないから
まぁいいか

あいつがいなくなって次の日
お母さんが飛んで帰ってきた
すぐ俺を呼んで探して
抱きしめてくれた


俺が追い払ってやったぞ
ちょっと苦しいけど
まぁいいか

さぁ今日も
この家の安全は俺が守るからな
大丈夫だ