家賃滞納の保証にクラスのイケメンを預かりました
7話
○カラオケ店で玲央の啖呵に驚愕する一同。
・千夏モノローグ(玲央君・・)
・奏介「・・あ? 何だお前? 何でお前が千夏のことで口出してくんだよ!?」
玲央に掴みかかる奏介。しかしそこに割って入ったのは梓だった。
・梓「あーあー、そこまで。一旦落ち着けって二人とも」
・奏介「アズ・・?」
・梓「こうなったらバラすけどさ。こいつ今、訳あって千夏の家に居候してんだよ」
・一同「は!?」と驚く。(アズちゃん?)と困惑する千夏。
・梓「つまり千夏とこいつは今『義理の兄弟』みたいな関係なの。山添ファンが煩いから隠してたってだけ。山添からしたら大事な家族を馬鹿にされる様なこと言われて、ブチキレてるってわけ。あんたさぁ奏介。照れ隠しなのかなんなのか知らないけど、言葉には気をつけなよ。仲良いなら何言ったっていいってわけじゃない。千夏を傷つけるような発言は、あたしと山添が許さないから」
・奏介心の声(千夏とこいつが、一緒に生活・・?)
困惑する奏介を無視して、梓は「行こ、みんな」と声をかけて一同は移動を始める。その中で友達に寄り添われ、下を向く千夏の姿を見つけて、奏介は戸惑う。
・奏介心の声(千夏・・? 今の、聞いて・・)
・奏介「あ、千夏・・」
声をかけた奏介の横を、下を向いたまま素通りする千夏。その後ろ姿を焦った様な表情で見送った奏介は、ぎゅっと拳を握る。
○夜、千夏の部屋。布団の中で物思いにふける千夏。
・千夏モノローグ(こうして、私と玲央君が同居しているという事実は皆に知れ渡ることとなりました)
・千夏「また明日から騒がれるんだろうなぁ・・」
・千夏モノローグ(アズちゃんは『山添があんたに告白したみたいな噂になるなら、家族だからって説明した方がまだマシ』と言っていたけれど・・)
『僕がちーちゃんの彼氏に立候補します』という玲央の啖呵を思い出す千夏。
・千夏モノローグ(玲央君はどうして、あんな事を言ったんだろう・・。売り言葉に買い言葉ってだけなんだろうとは思うけど・・)
・千夏「カッコよかったなぁ・・」
一人頬を染め、呟く千夏。
○教室。休み時間に席で談笑する千夏・梓・玲央の三人。
・友達A「意外と静かだね。前のとかみたいに、もっと騒ぎになると思ったけど」
・友達B「だってさ・・怖すぎるでしょ。あの立札」
傍らの机には「二人が同居しているのは事実です。山添目当てで千夏の家に遊びに行きたいとか言う奴、こ○します(藤原梓)」と書かれた立札がたてられている。
・友達A「でもさ、あの時山添君・・『彼氏に立候補する』って言ったよね」
・友達B「もしかしてだけど・・もしかしちゃうかも? あの二人・・」
二人で下校する千夏と玲央の姿を、上の階の窓から眞野杏奈が頬杖をついて眺めている。
・杏奈(同居人・・そうと知ってたら仲良くしてあげたのに、あのチビ)
そこへ杏奈の後ろで「だからぁ、あの二人、実は付き合ってるんじゃね?って噂」「はぁ?それは無いでしょ」「でもさ、一組の子の話しだと「彼氏になりたい」って言ったらしいよ。山添君本人が!」と噂話が飛び交っている。
・杏奈(八木沼千夏・・目障りだなぁ)
後ろで噂話をしていた女子達に声をかける杏奈。
・杏奈「ねぇ。知ってる?この噂。一組の子が言ってたんだけどさぁ・・」
○翌日の学校。千夏と玲央を見てヒソヒソと何かを噂しているような周囲の反応に、違和感を感じる千夏。移動教室の際、千夏の悪い噂をしているグループに遭遇。
・女子グループ「だから、山添君が今まで誰の誘いも受けなかったの、八木沼さんの命令らしいよ! 居候させてあげてるからって、凄い束縛してるらしい」
「うそー。酷くね?」「どうりで誰が誘っても断るわけだわ」「家事の手伝いとかもエグいらしいよ」「ひっど。昼ドラかよ」
とあらぬ話で盛り上がる一同。
「あいつら・・」と怒りを燃やす梓を「僕が行くよ」と止める玲央。しかしその前に彼女達を諌めたのは、眞野杏奈だった。
・杏奈「やめなよ。そういう本当かどうかも分からない噂話、広めるのって良くないよ」
・女子グループ「ま、眞野さん・・?」「ウチら別に、広めてるわけじゃ・・皆がそう言ってるの聞いたから」「もう行こう」
逃げるように去っていくグループを見送り、溜息をつく杏奈。周りの男子は「眞野さん、天使」と目を輝かせているが、千夏は内心戸惑う。
・千夏(な、なんで眞野さんが・・この間とのギャップが凄過ぎて、逆に怖い・・)
千夏に気がつき手を振る杏奈。ギクリと肩を飛び上がらせる。
・杏奈「千夏ちゃん! なんか大変そうだね・・でも気にしない方がいいよ?」
・千夏「あ、ああ・・ありがとう」
戸惑いつつもお礼を言う千夏の横で、杏奈を無視して素通りする梓。それを慌てて追う千夏。
・千夏「あ。じゃあ・・急いでるから」
玲央も杏奈へ「ありがとう」とペコリと頭を下げる。去っていった千夏らの背中を見送り、ほくそ笑む杏奈。
○下校時のホームルーム。先生が「生徒会役員に立候補を検討している人は、この後理科室で説明会があるから参加するように」と話す。
・玲央「ちーちゃん。僕、ちょっと説明会に行ってくるけど一人で大丈夫?」
・千夏「うん、大丈夫だよ。そうか玲央君、立候補するって言ってたもんね」
・玲央「うん。内申点稼げるらしいんだ」
・千夏「がんばれ、玲央君!」
○理科室に集まる生徒達。生徒会長から立候補から選挙までの流れが説明されている図。
・生徒会長「立候補を希望する生徒は、6月末までに申込書に記載をして提出してください。その後、三枚目の用紙に自身の打ち出す公約を記載し、7月20日までに提出して下さい。提出した公約は二学期頭から生徒会室前に張り出され、総選挙は9月の15日にスピーチ、20日に投票という流れになります。・・」
説明が終わり、席を立つ玲央の所に、同じく参加していたらしい杏奈が声をかけてくる。
・杏奈「お疲れ様、山添君。山添君も立候補するんだ。お互い頑張ろうね」
・玲央「ああ・・そうだね」
・杏奈「なんか・・大変そうだね。八木沼さんとの噂・・」
・玲央「ああ、そうだね。どうしてあんな根も歯もない話が出てくるのか分からないけど・・一つずつ誤解だって地道に話してくしかないよね」
・杏奈「そうだね・・あ。私に協力できる事があったらなんでも言って! ・・あ・・でも・・逆に迷惑かけちゃうかな・・」
・玲央「迷惑?」
・杏奈「実は私・・藤原さんに嫌われてるみたいなの。その影響なのか、八木沼さんにも何度か、冷たくされちゃったことあって・・。
私、なんでか女の子に一方的に嫌われちゃうことあるんだよね。『男子に媚び売ってる』とか言われちゃって・・自分ではそんなつもり全然なくて、話しかけられたから応えてるってだけなんだけどね・・」
しゅんとして見せる杏奈。
・杏奈「でもだからこそ、根も歯もない陰口を言われる辛さは分かるんだ! だから私にできることあったら、なんでも言って。ね?」
玲央を手を握り、必殺「薄幸の美少女モード」でしおらしく玲央を見つめる杏奈。
・玲央「ありがと。・・でも、藤原さんとちー・・八木沼さんが冷たくしてるって言うのは、多分君の勘違いだと思うよ」
・杏奈「え??」
・玲央「二人ともすごく良い人だし、君の思い過ごしじゃないかな。もしも本当にそうだとするなら、何かそれ相応の理由がある筈だけど・・気になるなら僕が聞いてみようか?」
前に千夏に詰め寄った件を思い出し、内心青ざめる杏奈。
・杏奈「い、いやいや大丈夫! きっと私の考え過ぎだね・・」
・玲央「ところで、君って何組の何さんだっけ?」
・杏奈心の声(は??私のこと知らない??学校一の美少女やぞ?)
プライドをバリンと割られる杏奈。
・杏奈「三組の眞野杏奈、だよ・・」
・玲央「眞野さんね! どうぞ宜しく! じゃあまた明日ね」
全く悪気のない玲央は輝く笑顔で手を振り去っていく。残された杏奈は一人怒りを燃やす。
・杏奈「見てなさい・・絶対私の虜にさせてやる・・!」
○別日の学校。千夏を呼び出す杏奈。
・千夏「・・な、何?眞野さん・・」
・杏奈「千夏ちゃん! はい、これあげる」
ぶりっ子しながら差し出したのは恋愛ものの映画のチケット。杏奈は千夏に耳打ちする。
・杏奈「なんかぁ、爽介君に頼まれたんだよねぇ。千夏をデートに誘いたいけど自分じゃ照れて誘えないからって」
・千夏「は? 爽介が・・眞野さんに、わざわざ?」
・杏奈「二人でデート楽しんで来てね!」
千夏の疑惑の眼差しを無視して、ぎゅっと手にチケットを握らせて笑顔で去っていく杏奈。不審に思った千夏は、爽介を尋ねる。
・爽介「千夏・・どうした?」
・千夏「あのさ、これ・・さっき眞野さんが爽介から頼まれたって、映画のチケットくれたんだけど・・」
・爽介「ああそれ、俺の所にも来たぞアイツ。千夏と一緒に行って来いって」
・千夏(やっぱり・・!)と青ざめる千夏。
・千夏「私返してくるね!」
怒って杏奈の所へ向かおうとする千夏の手を捕まえる爽介。
・爽介「せっかく貰ったんだし・・一緒に行こうぜ」
・千夏「・・え?」
・爽介「この間は酷いこと言ってごめんな。仲直りっちゃなんだけど・・たまには二人で出掛けてみるのも良くね?」
爽介の誘いに驚く千夏。
・千夏「あ、ああ・・うん」
・爽介「じゃあさ。日曜の10時に駅で待ち合わせな」
・千夏「わ、分かった・・」
二人の様子を盗み見て「うふふふふ。上手くいったぁ〜」とほくそ笑む杏奈。
○日曜日、デートの準備をする千夏。
・千夏「えーと・・こんなもんでいいかなぁ・・」
前に玲央と出掛けたときのドキドキを思いだす千夏。
・千夏(夢にまで見た爽介とのデートなのに・・私・・なんか全然、ドキドキしてない・・?)
自宅の玄関を出ようとする際、玲央に声をかけられてドキーと飛び上がる千夏。
・玲央「ちーちゃん、今日はお出かけ?」
・千夏「そ、そうなの・・ちょっと行ってくるね」
・玲央「服かわいいね。誰かと待ち合わせ?」
・千夏「そ、そう・・女の子の友達たちと!」
思わず嘘をついてしまう千夏。
・玲央「そっか。気をつけてね。お友達によろしく」
・千夏「い、行って来ます・・」
家を出た千夏。思わず嘘をついてしまった自分に戸惑う。
・千夏(どうして私・・玲央君にそんな嘘・・)
○部屋で勉強している玲央。しかしそこへ母が「お客さんよ」と呼びに来る。玄関に降りると、そこには笑顔を輝かせる杏奈の姿が。
・玲央「あれ・・? 眞野さん・・?」
(7話おわり)
・千夏モノローグ(玲央君・・)
・奏介「・・あ? 何だお前? 何でお前が千夏のことで口出してくんだよ!?」
玲央に掴みかかる奏介。しかしそこに割って入ったのは梓だった。
・梓「あーあー、そこまで。一旦落ち着けって二人とも」
・奏介「アズ・・?」
・梓「こうなったらバラすけどさ。こいつ今、訳あって千夏の家に居候してんだよ」
・一同「は!?」と驚く。(アズちゃん?)と困惑する千夏。
・梓「つまり千夏とこいつは今『義理の兄弟』みたいな関係なの。山添ファンが煩いから隠してたってだけ。山添からしたら大事な家族を馬鹿にされる様なこと言われて、ブチキレてるってわけ。あんたさぁ奏介。照れ隠しなのかなんなのか知らないけど、言葉には気をつけなよ。仲良いなら何言ったっていいってわけじゃない。千夏を傷つけるような発言は、あたしと山添が許さないから」
・奏介心の声(千夏とこいつが、一緒に生活・・?)
困惑する奏介を無視して、梓は「行こ、みんな」と声をかけて一同は移動を始める。その中で友達に寄り添われ、下を向く千夏の姿を見つけて、奏介は戸惑う。
・奏介心の声(千夏・・? 今の、聞いて・・)
・奏介「あ、千夏・・」
声をかけた奏介の横を、下を向いたまま素通りする千夏。その後ろ姿を焦った様な表情で見送った奏介は、ぎゅっと拳を握る。
○夜、千夏の部屋。布団の中で物思いにふける千夏。
・千夏モノローグ(こうして、私と玲央君が同居しているという事実は皆に知れ渡ることとなりました)
・千夏「また明日から騒がれるんだろうなぁ・・」
・千夏モノローグ(アズちゃんは『山添があんたに告白したみたいな噂になるなら、家族だからって説明した方がまだマシ』と言っていたけれど・・)
『僕がちーちゃんの彼氏に立候補します』という玲央の啖呵を思い出す千夏。
・千夏モノローグ(玲央君はどうして、あんな事を言ったんだろう・・。売り言葉に買い言葉ってだけなんだろうとは思うけど・・)
・千夏「カッコよかったなぁ・・」
一人頬を染め、呟く千夏。
○教室。休み時間に席で談笑する千夏・梓・玲央の三人。
・友達A「意外と静かだね。前のとかみたいに、もっと騒ぎになると思ったけど」
・友達B「だってさ・・怖すぎるでしょ。あの立札」
傍らの机には「二人が同居しているのは事実です。山添目当てで千夏の家に遊びに行きたいとか言う奴、こ○します(藤原梓)」と書かれた立札がたてられている。
・友達A「でもさ、あの時山添君・・『彼氏に立候補する』って言ったよね」
・友達B「もしかしてだけど・・もしかしちゃうかも? あの二人・・」
二人で下校する千夏と玲央の姿を、上の階の窓から眞野杏奈が頬杖をついて眺めている。
・杏奈(同居人・・そうと知ってたら仲良くしてあげたのに、あのチビ)
そこへ杏奈の後ろで「だからぁ、あの二人、実は付き合ってるんじゃね?って噂」「はぁ?それは無いでしょ」「でもさ、一組の子の話しだと「彼氏になりたい」って言ったらしいよ。山添君本人が!」と噂話が飛び交っている。
・杏奈(八木沼千夏・・目障りだなぁ)
後ろで噂話をしていた女子達に声をかける杏奈。
・杏奈「ねぇ。知ってる?この噂。一組の子が言ってたんだけどさぁ・・」
○翌日の学校。千夏と玲央を見てヒソヒソと何かを噂しているような周囲の反応に、違和感を感じる千夏。移動教室の際、千夏の悪い噂をしているグループに遭遇。
・女子グループ「だから、山添君が今まで誰の誘いも受けなかったの、八木沼さんの命令らしいよ! 居候させてあげてるからって、凄い束縛してるらしい」
「うそー。酷くね?」「どうりで誰が誘っても断るわけだわ」「家事の手伝いとかもエグいらしいよ」「ひっど。昼ドラかよ」
とあらぬ話で盛り上がる一同。
「あいつら・・」と怒りを燃やす梓を「僕が行くよ」と止める玲央。しかしその前に彼女達を諌めたのは、眞野杏奈だった。
・杏奈「やめなよ。そういう本当かどうかも分からない噂話、広めるのって良くないよ」
・女子グループ「ま、眞野さん・・?」「ウチら別に、広めてるわけじゃ・・皆がそう言ってるの聞いたから」「もう行こう」
逃げるように去っていくグループを見送り、溜息をつく杏奈。周りの男子は「眞野さん、天使」と目を輝かせているが、千夏は内心戸惑う。
・千夏(な、なんで眞野さんが・・この間とのギャップが凄過ぎて、逆に怖い・・)
千夏に気がつき手を振る杏奈。ギクリと肩を飛び上がらせる。
・杏奈「千夏ちゃん! なんか大変そうだね・・でも気にしない方がいいよ?」
・千夏「あ、ああ・・ありがとう」
戸惑いつつもお礼を言う千夏の横で、杏奈を無視して素通りする梓。それを慌てて追う千夏。
・千夏「あ。じゃあ・・急いでるから」
玲央も杏奈へ「ありがとう」とペコリと頭を下げる。去っていった千夏らの背中を見送り、ほくそ笑む杏奈。
○下校時のホームルーム。先生が「生徒会役員に立候補を検討している人は、この後理科室で説明会があるから参加するように」と話す。
・玲央「ちーちゃん。僕、ちょっと説明会に行ってくるけど一人で大丈夫?」
・千夏「うん、大丈夫だよ。そうか玲央君、立候補するって言ってたもんね」
・玲央「うん。内申点稼げるらしいんだ」
・千夏「がんばれ、玲央君!」
○理科室に集まる生徒達。生徒会長から立候補から選挙までの流れが説明されている図。
・生徒会長「立候補を希望する生徒は、6月末までに申込書に記載をして提出してください。その後、三枚目の用紙に自身の打ち出す公約を記載し、7月20日までに提出して下さい。提出した公約は二学期頭から生徒会室前に張り出され、総選挙は9月の15日にスピーチ、20日に投票という流れになります。・・」
説明が終わり、席を立つ玲央の所に、同じく参加していたらしい杏奈が声をかけてくる。
・杏奈「お疲れ様、山添君。山添君も立候補するんだ。お互い頑張ろうね」
・玲央「ああ・・そうだね」
・杏奈「なんか・・大変そうだね。八木沼さんとの噂・・」
・玲央「ああ、そうだね。どうしてあんな根も歯もない話が出てくるのか分からないけど・・一つずつ誤解だって地道に話してくしかないよね」
・杏奈「そうだね・・あ。私に協力できる事があったらなんでも言って! ・・あ・・でも・・逆に迷惑かけちゃうかな・・」
・玲央「迷惑?」
・杏奈「実は私・・藤原さんに嫌われてるみたいなの。その影響なのか、八木沼さんにも何度か、冷たくされちゃったことあって・・。
私、なんでか女の子に一方的に嫌われちゃうことあるんだよね。『男子に媚び売ってる』とか言われちゃって・・自分ではそんなつもり全然なくて、話しかけられたから応えてるってだけなんだけどね・・」
しゅんとして見せる杏奈。
・杏奈「でもだからこそ、根も歯もない陰口を言われる辛さは分かるんだ! だから私にできることあったら、なんでも言って。ね?」
玲央を手を握り、必殺「薄幸の美少女モード」でしおらしく玲央を見つめる杏奈。
・玲央「ありがと。・・でも、藤原さんとちー・・八木沼さんが冷たくしてるって言うのは、多分君の勘違いだと思うよ」
・杏奈「え??」
・玲央「二人ともすごく良い人だし、君の思い過ごしじゃないかな。もしも本当にそうだとするなら、何かそれ相応の理由がある筈だけど・・気になるなら僕が聞いてみようか?」
前に千夏に詰め寄った件を思い出し、内心青ざめる杏奈。
・杏奈「い、いやいや大丈夫! きっと私の考え過ぎだね・・」
・玲央「ところで、君って何組の何さんだっけ?」
・杏奈心の声(は??私のこと知らない??学校一の美少女やぞ?)
プライドをバリンと割られる杏奈。
・杏奈「三組の眞野杏奈、だよ・・」
・玲央「眞野さんね! どうぞ宜しく! じゃあまた明日ね」
全く悪気のない玲央は輝く笑顔で手を振り去っていく。残された杏奈は一人怒りを燃やす。
・杏奈「見てなさい・・絶対私の虜にさせてやる・・!」
○別日の学校。千夏を呼び出す杏奈。
・千夏「・・な、何?眞野さん・・」
・杏奈「千夏ちゃん! はい、これあげる」
ぶりっ子しながら差し出したのは恋愛ものの映画のチケット。杏奈は千夏に耳打ちする。
・杏奈「なんかぁ、爽介君に頼まれたんだよねぇ。千夏をデートに誘いたいけど自分じゃ照れて誘えないからって」
・千夏「は? 爽介が・・眞野さんに、わざわざ?」
・杏奈「二人でデート楽しんで来てね!」
千夏の疑惑の眼差しを無視して、ぎゅっと手にチケットを握らせて笑顔で去っていく杏奈。不審に思った千夏は、爽介を尋ねる。
・爽介「千夏・・どうした?」
・千夏「あのさ、これ・・さっき眞野さんが爽介から頼まれたって、映画のチケットくれたんだけど・・」
・爽介「ああそれ、俺の所にも来たぞアイツ。千夏と一緒に行って来いって」
・千夏(やっぱり・・!)と青ざめる千夏。
・千夏「私返してくるね!」
怒って杏奈の所へ向かおうとする千夏の手を捕まえる爽介。
・爽介「せっかく貰ったんだし・・一緒に行こうぜ」
・千夏「・・え?」
・爽介「この間は酷いこと言ってごめんな。仲直りっちゃなんだけど・・たまには二人で出掛けてみるのも良くね?」
爽介の誘いに驚く千夏。
・千夏「あ、ああ・・うん」
・爽介「じゃあさ。日曜の10時に駅で待ち合わせな」
・千夏「わ、分かった・・」
二人の様子を盗み見て「うふふふふ。上手くいったぁ〜」とほくそ笑む杏奈。
○日曜日、デートの準備をする千夏。
・千夏「えーと・・こんなもんでいいかなぁ・・」
前に玲央と出掛けたときのドキドキを思いだす千夏。
・千夏(夢にまで見た爽介とのデートなのに・・私・・なんか全然、ドキドキしてない・・?)
自宅の玄関を出ようとする際、玲央に声をかけられてドキーと飛び上がる千夏。
・玲央「ちーちゃん、今日はお出かけ?」
・千夏「そ、そうなの・・ちょっと行ってくるね」
・玲央「服かわいいね。誰かと待ち合わせ?」
・千夏「そ、そう・・女の子の友達たちと!」
思わず嘘をついてしまう千夏。
・玲央「そっか。気をつけてね。お友達によろしく」
・千夏「い、行って来ます・・」
家を出た千夏。思わず嘘をついてしまった自分に戸惑う。
・千夏(どうして私・・玲央君にそんな嘘・・)
○部屋で勉強している玲央。しかしそこへ母が「お客さんよ」と呼びに来る。玄関に降りると、そこには笑顔を輝かせる杏奈の姿が。
・玲央「あれ・・? 眞野さん・・?」
(7話おわり)