大嫌いな王子様 ー前編ー
ep.1 あんたなんか大嫌い
「じゃあ行ってくるね!」
「お姉ちゃん、気をつけてねー!」
可愛い弟に見送られながらアルバイトへと急ぐ。
学校が15時半まであり、急いで帰って夜ご飯の支度をして17時出勤を目指してダッシュ中。
10月も後半。少しずつ秋らしくなってきた頃。
そんな私、阿部 伊織(あべいおり) 16歳。
高校1年生です!
「阿部さん、急で申し訳ないんだけど今月いっぱいで辞めてもらってもいいかしら?」
「えっ!?」
なんで!?
「恥ずかしい話なんだけど…色々事情があってここを閉める事にしたの。悩んでたんだけどね…本当にごめんなさい」
「そ…そうですか……」
そ、そんなぁ〜〜!!!!
高1で働ける所がなかなかなくて、やっと見つけたアパートから走って10分ほどの所にある老舗の喫茶店。
今月いっぱいって、あと4日で今月終わりますよ?
「お疲れ様でした〜」
あぁ。
本当にどうしよう。
私の家は母子家庭。
お母さんは体が弱くてそんなに働けず、可能な限りパートに行ってくれている。
でも、その収入だけじゃ到底生活は出来ない。
だから、私のアルバイト代がないと…。
8つ下の小学2年生の弟、晴(はる)を苦しめるわけにはいかない。
「バイト、探さなきゃ〜!って、うわっ!ギガほぼ残ってないし!」
スマホも古いものをなんとか契約していて、1番安いプランにしているからギガ数が一瞬でなくなる。
だから、友達と連絡を取り合ったりはほとんどしていない。
「はぁー…ほんとにどうしよう…」
あてもなく、トボトボと歩いていたら
グシャッ!!
なんか、すごく変な音が聞こえた。
恐る恐るそっちに目をやると
「ひっ!!」
人が何人か倒れてる。
怖いっ
「だっ大丈夫…ですか?」
でも心配で少し近寄り、声をかけてみた。
「なんだぁ?姉ちゃん、俺らと遊びたいんか?」
後ろからとてつもなく、怖い声が聞こえた。
どうしよう!
これ、絶対ヤバいやつだ!
ドカッ!!
「あんたの相手は俺でしょ?」
また別の声が聞こえた。
しゃがみながら、恐る恐る顔を上げる。
街灯が少し薄暗かったけど、なんとか顔が見えた。
あれ…?若い……?
「邪魔。ボーッとすんな」
あっ、さっき聞こえた別の声はこの人だ。
「聞いてんの?はよどっか行け」
そう言って、その人はまた別の男の人を蹴った。
「あんたもこうなるか?」
ひっ!!!
震える足をなんとか立たせて、私はその場を後にした。
家までどう帰ったかわからないけど、とにかく走った。
ガチャガチャッバタン!!
手が震えていたせいで鍵がうまく開けられなかったが、なんとか家に入れた。
「お姉ちゃん、おかえりー」
「伊織お疲れ様。…何かあった?」
息が荒い私を心配しているお母さん。
「ううん、なんでもないよ」
忘れよう。
もう、あの道は通らないようにしよう。
物騒な世の中だ。
「お姉ちゃん、気をつけてねー!」
可愛い弟に見送られながらアルバイトへと急ぐ。
学校が15時半まであり、急いで帰って夜ご飯の支度をして17時出勤を目指してダッシュ中。
10月も後半。少しずつ秋らしくなってきた頃。
そんな私、阿部 伊織(あべいおり) 16歳。
高校1年生です!
「阿部さん、急で申し訳ないんだけど今月いっぱいで辞めてもらってもいいかしら?」
「えっ!?」
なんで!?
「恥ずかしい話なんだけど…色々事情があってここを閉める事にしたの。悩んでたんだけどね…本当にごめんなさい」
「そ…そうですか……」
そ、そんなぁ〜〜!!!!
高1で働ける所がなかなかなくて、やっと見つけたアパートから走って10分ほどの所にある老舗の喫茶店。
今月いっぱいって、あと4日で今月終わりますよ?
「お疲れ様でした〜」
あぁ。
本当にどうしよう。
私の家は母子家庭。
お母さんは体が弱くてそんなに働けず、可能な限りパートに行ってくれている。
でも、その収入だけじゃ到底生活は出来ない。
だから、私のアルバイト代がないと…。
8つ下の小学2年生の弟、晴(はる)を苦しめるわけにはいかない。
「バイト、探さなきゃ〜!って、うわっ!ギガほぼ残ってないし!」
スマホも古いものをなんとか契約していて、1番安いプランにしているからギガ数が一瞬でなくなる。
だから、友達と連絡を取り合ったりはほとんどしていない。
「はぁー…ほんとにどうしよう…」
あてもなく、トボトボと歩いていたら
グシャッ!!
なんか、すごく変な音が聞こえた。
恐る恐るそっちに目をやると
「ひっ!!」
人が何人か倒れてる。
怖いっ
「だっ大丈夫…ですか?」
でも心配で少し近寄り、声をかけてみた。
「なんだぁ?姉ちゃん、俺らと遊びたいんか?」
後ろからとてつもなく、怖い声が聞こえた。
どうしよう!
これ、絶対ヤバいやつだ!
ドカッ!!
「あんたの相手は俺でしょ?」
また別の声が聞こえた。
しゃがみながら、恐る恐る顔を上げる。
街灯が少し薄暗かったけど、なんとか顔が見えた。
あれ…?若い……?
「邪魔。ボーッとすんな」
あっ、さっき聞こえた別の声はこの人だ。
「聞いてんの?はよどっか行け」
そう言って、その人はまた別の男の人を蹴った。
「あんたもこうなるか?」
ひっ!!!
震える足をなんとか立たせて、私はその場を後にした。
家までどう帰ったかわからないけど、とにかく走った。
ガチャガチャッバタン!!
手が震えていたせいで鍵がうまく開けられなかったが、なんとか家に入れた。
「お姉ちゃん、おかえりー」
「伊織お疲れ様。…何かあった?」
息が荒い私を心配しているお母さん。
「ううん、なんでもないよ」
忘れよう。
もう、あの道は通らないようにしよう。
物騒な世の中だ。
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