大嫌いな王子様 ー前編ー

ep.21 坊っちゃまたちの体育祭 2nd.


ワーッ!!!!

体育祭は順調に進んで、騎馬戦が始まった。

暁斗くんが出てる!


「頑張れー!!暁斗くん!」


暁斗くんが相手のハチマキを取った。
やった!!


暁斗くんの表情ひとつひとつの中に、今まで見たことない表情もあったりして嬉しい反面胸がジリッとすることもあり、そんな自分に戸惑ってしまう。


優聖学園は中等部と高等部の合同体育祭。
だからか、学年対抗らしい。


競技は進んでいき、お昼休憩の前の競技になった。
二人三脚リレー。
暁斗くんも和希くんも出る。


ドキッ


暁斗くん、女の子とペアなんだ。
みんな基本男女ペアのようだ。


あ、和希くんやっぱり速い。
ペアの女の子もすごい。
二人三脚とは思えない速さ。



暁斗くんを見る。
これだけ人がいるのに、すぐ見つけられちゃう。


ペアの女の子がこけそうになった。
危ないっ!


暁斗くんが手で支えてあげて、こけなくて済んだ。
何か…話してる?

その時暁斗くんが一瞬、優しく笑った。
女の子がこけなくてよかったのに…なにこれ
この気持ちってなに。
モヤモヤして、ジリジリする。

なんか…こんな自分やだ。


私は首をブンブン横に振った。





ーお昼休憩ー


「俺の二人三脚さすがだったでしょー」

「うん!和希くんもペアの子も凄すぎだね」

「この1週間マジ練習した」


最初は全然乗り気じゃなかった体育祭なのに、こんなに頑張ってて嬉しくなった。



「悪い、お待たせ」

ドキッ

暁斗くんが私たちの元にやってきた。


「いおー、腹減った。弁当食いたい」

「あっ!はい!どうぞ」


ダメだ、さっきの二人三脚の時の様子が気になってぼーっとしちゃう。


私はお弁当箱の蓋を開けた。


「おわー!すげー!!」

「えへへ。料理長にお重の3段箱をお借りしちゃいました」

「伊織さんのお料理の腕前は料理長も大変褒めてらっしゃいます」



スッ

暁斗くんが卵焼きを手で摘んで食べた。

「暁斗くん、お箸ー…!」


「うまいな、これ」

きゅんっ


ヤバイ。
今の笑顔だけでご飯5杯いけそう。
あと、気絶しそう。



「伊織〜お茶ちょうだい」

「和希坊っちゃま、こちらどうぞ」

「牧さん、ありがとう〜」

和希くんの甘えたも、牧さんが対応してくれて有り難い。


「飯田さんも一緒に食べましょう」


飯田さん、ずっと周りを見てる。
きっと色々気にかけてくれてるんだ。


「いえ、私は後ほどいただきますので」


せっかくのみんなとのご飯なのに。




「飯田、一緒に食うぞ」


暁斗くん…


「しかし坊っちゃま…」

「うるせー。同じこと言わせんな」

「かしこまりました。ありがとうございます」


飯田さんも座って、お弁当を食べ始めてくれた。


「本当美味しいですね」

「伊織天才〜」


みんなでのこうしたご飯。
嬉しいなぁ。


「暁斗くん、ありがとう」

「なにが?」

とぼけちゃって。



ただ1点だけ気になる。

それは周りからの目。
ものすごい視線を感じるんだけど。
やっぱり暁斗くんたちの人気はすごいんだな。



「ご馳走様〜!!うまかったー!」

「ご馳走様。ありがとな」

和希くんも暁斗くんも喜んでくれたみたいでよかった。

しばらくして、誰かの親御さん?らしき人たちが数人やってきた。
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