大嫌いな王子様 ー前編ー
「暁兄〜、ケンカはダメだよ。周りもすげー見てるし、そもそもこんなしょーもない奴との時間とかもったいなくない?」

おわー!!
マイペースだけど、なかなかの毒舌!!
さすが兄弟!!



「あのさ、俺たち花火見たいんだよね。どっか消えてよ、早く」

ニコニコしながら言う和希くんもなかなか怖い。



「あっ!でも待って!まずは光季に謝ってよ」

そう言って和希くんはみっちゃんの肩を抱いた。



「はぁ?なんで俺が謝んねーといけねーんだよ」

「バカだから日本語が通じないのかな?困ったなぁ〜」

完全に和希くんのペースだ。
そして毒舌も際立っている。




「光季、俺言ったよな?こんなゴミみたいな奴とっとと捨てろって」


ん!?
光季呼び!?
和希くん、みっちゃんと今日初めて会ったよね!?


チラッと暁斗くんを見ると、私の方を見てニッと笑っている。




「悪いんだけど、光季は俺のもんだから。別れてくれてありがとね」


みっちゃんは和希くんの方を見て、少ししてから小さく頷いた。



「こんな奴…こっちから願い下げだし!!二度と目の前に現れないで!!」


みっちゃん。。。



「光季テメェ…!」

「ちょっと!軽々しく光季の名前呼ばないでくれる?あと光季と伊織に早く謝れよ」


和希くんの方がほわっとしてるけど、圧は結構暁斗くんに似てる。



「うぜぇ!こっちが願い下げだよ!!」

そう言ってタケシさんたちは去っていった。




少し冷静になり周りを見ると、すごい視線。


私はペコペコッと周りに会釈をした。




「ちぇーっ。アイツとうとう謝んなかったなー」


和希くんは拗ねた様子で座り直した。



「あの…みんな……その。。ごめんなさい」

「え?なんで謝んの?」

和希くんがすごく不思議そうに尋ねた。


「嫌な思いさせてしまって…」

「んー…別に嫌な思いなんかしてないけど。あっ!伊織への暴言は許せなかったけどな」


「私は全然だよ!!みっちゃんが謝ることじゃないよ!!」

「俺は1発ぐらい殴りたかった」

「暁斗くん!それはダメ!」


わちゃわちゃしてると、ドーーーンッ!!と大きな音と同時に花火が上がった。



わーっと歓声が起こる。



「綺麗…」


「それでいいじゃん。みっちゃんも笑ってる方がいいよ」

和希くんがみっちゃんにそう言った。



「みんなありがとう!!」


みっちゃんは泣きながら笑っていた。

私も涙が出てくる。



「なんでいおが泣くんだよ」

「わかんない」


4人で見た花火は、とってもとっても綺麗だった。
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