大嫌いな王子様 ー前編ー

「…それで?今度こそ御曹司くんに見つからないようにまずは家を探してると?」

「うん」

「そして働き口も探さなきゃヤバイと?」

「その通り」


学校でみっちゃんに暁おととのやり取りを相談。


「御曹司くんのお父さん…ウザイしキモイな。なんで伊織が出て行かなきゃいけないわけ?」


「まぁ…私もずっと甘えてるのは違うって思ってたからそこは納得なんだよね。てか、当たり前かなって思う」


「さすが伊織というか…」


(回想)

「本気…?」

「まずはウチから出てきちんと独立したまえ。話はそれからだ」


ものすごく納得。
というか、当たり前。
今まで私が甘えすぎてた。



「そうですよね。甘えてばかりで申し訳ありませんでした。そしてたくさん助けてくださり、本当にありがとうございます」


「…やはりきみは変わってるな」

「え??」

「いや、こちらの話だ。必ず暁斗にバレないように家を出ること。そして働き場所も新しく探せ」


働き口!!
それが最難関…!!


「まずはこれが出来たら、そこから考えていこう。暁斗のそばから離れても問題ないんだろう?本気なんだから」


なに言ってんの?


「当たり前です。今が近すぎるぐらいです。住む場所が離れたってなにも大したことありません」


「…じゃあまずはできる限り早く引っ越すように」


(回想終了)



「仕事も含めて…アテあんの?」

「前のことがあるから、お母さんに頼んでアパートを探してるの。お父さんも強力してくれてるし」

「お父さんと仲直り…?っていうのかな…ほんとよかったね」

「まだ別居はしてるけどね。晴も喜んでるし、家にちゃんとお金も入れてくれるみたいで」


そう。
あれからお母さんたちもお父さんと会った。

お母さんは怒っていたけど、やっぱり心配が勝っててホッとしていた。
晴は喜んでいた。
いなくなった時、まだ3歳とかだったもんね。

ちゃんとお金も入れてくれることになったから、より暁斗くんに甘えてる場合じゃない。



「暁おとに負けないんだから」

「私も全力で協力するよ」

「ありがとう、みっちゃん」



———————————————

お母さんが急いで探してくれて、割と良い条件のアパートが見つかった。

お父さんの協力もあり、なにより暁斗くんの元で働かせてもらって出来た貯金で敷金・礼金もなんとかなりそう。
私は暁斗くんたちに見つかるわけにはいかないので、内見は行けなかったけど電話の様子だと晴も喜んでいた。



9月中旬の頃、今月末に無事引っ越しが決まった。

暁斗くんや和希くんには言えない。
だけど、仕事を急に穴開けたりしたくないし牧さんや飯田さんには先にきちんとご挨拶をしたい。
マンションも勝手に出ていくことになるんだし。

暁おとのことだけ言わずに…話してみようかな。



「牧さん…今日仕事のあと少しお時間いけたりしますか?」

「はい、全然大丈夫ですよ。なにかありましたか?」

「お話したいことがありまして…」


同じ時間帯に飯田さんにもお願いした。
暁斗くんたちにバレないため、牧さんの部屋(着替えなどをする牧さん専用のお部屋があることを知った!)に夜、集合した。
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