大嫌いな王子様

ep.5 ダンスパーティーとイヴな日 1st.


「まぁ伊織!見違えるほど良くなってるわ」

ヒロキ先生から、初めてお褒めの言葉をもらった。
飯田さんの猛レッスンのおかげだ。(あっ暁斗くんも)←オマケ扱い


ふふんっと私は得意げな顔。

「お前…やっとスタートラインに立っただけだぞ」

そんな私の自信を綺麗に打ち砕く暁斗くん。
いや、やっぱりキモ野郎だ。


「では!伊織、今から細かくレッスンしていくわよ!」

「はいっ!!」



周りを見ると、みんなすごく上手に踊れている。
さすがだなぁ。

チラッとあの子を探す。

あ、ペアの人見つかったんだ…よかった。

探していたのは、金澤さん。
暁斗くんが私と組むことになったので、ペアの人がいないんじゃないかと心配だった。


「伊織!よそ見してる暇はないわよ!」

「すみません!」


ヒロキ先生のステップが速すぎて、ついていけない。

グギッ!!


「いったぁー!!」

足をくじく。

「伊織!お下品な叫び方よ!」

「めっちゃ痛いし!」


あと数日。
頑張らなきゃ。




なんとかダンスレッスンが終わった。

私は今きっと廃人になっている。


暁斗くんはヒロキ先生と何か話してる。



「あ、あの…阿部さん?」


そんな時、いきなりほかの子たちから話しかけられた。


「前から気になってて…よかったらお友達にならない?」


え!!

「本当!?」

わぁー!すごく嬉しい!!


「ぜひぜひ!!」

「よかったわぁ!嬉しいー」

話し方も私と違って、みんな上品だ。


女の子数人と連絡先の交換をした。
新しいスマホで連絡先を交換した人は、暁斗くんたちを除くとみっちゃんだけだったから、余計に嬉しい。


「俺たちも友達なってよ」

男子も数人やってきた。


「阿部さんってなんか面白いっていうか、かっこいいよね。皆実くんにもあんな態度取れてすごいよ」


「いや、そんなことは…」

ちょっと恥ずかしくなってきた。


「俺、佐伯智和(さえきともかず)。よろしくね」

その中のひとりの男子が自己紹介をしながら、スマホを出してくれた。


「あっ、阿部伊織です。よろしくね」

連絡先を交換した瞬間、体が後ろに倒れた。


グイッ
「うわっ!」


「なに、楽しそうにしてんの?」


原因は暁斗くんに後ろから腕を回され引っ張られたからだった。


「あっ暁斗さん!すみません。阿部さんとお友達になりたくて…」

「そうなんだ。ぜひなってあげて」

「キャーッ!暁斗さんと普通に話せたわー!」


女子たちが喜んでいる。
なんなんだ、、暁斗くんと喋れるのがそんなにレアなのか??


「佐伯…コイツの連絡先今すぐ消せ」

え!?

「なんで!?ふがっ…!」
口を塞がれた。

キモ野郎〜…!!!
せっかく友達が出来たのに〜!!!


「なんで?皆実くんにそんなこと言う権利とかあるの?」


「……なに考えてんだよ、テメー」

「なにって、ただ純粋に伊織ちゃんと“オトモダチ”になりたいだけなんだけど?」

「…………」


暁斗…くん?

口を塞がれながら、なんとか顔を上げて見えたのは、なんだか少し険しい表情。


「皆実くんとこんな風に話せて嬉しいなー♪じゃ、これからよろしくね“伊織ちゃん”」

ヒラヒラと手を振りながら、部屋を出ていく佐伯くんと周りにいた男子数人。


「チッ……」

舌打ち…。何かあった?





ところで!!

「ふがふが!!」


「あ、わりぃ」

やっと手を離してくれた。



「なんかあった…?」

「いや別に。帰るぞ」


なんかさっき雰囲気がピリついた気がした。
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