大嫌いな王子様
あっという間に日は過ぎて、いよいよ今日はダンスパーティーの日。
朝は私も暁斗くんも終業式があり、そのあと家で準備をして夕方から優整学園の講堂で開かれる。
「こんなもんだろ」
「いえ、あと1回お願いします」
「いい加減休め」
「大丈夫だから!」
まだ、このステップがわかんないの。
頑張らなきゃ。
「いお!」
暁斗くんの珍しい大きな声にハッとする。
「大丈夫だから」
優しく頭をポンポンッとしてくれた。
「学校行くぞ」
「はい…」
不安は残ったままだけど、私はひとまず学校へ向かった。
「今日いよいよダンスパーティーじゃん」
「そうなんだよ〜ヤバイんだよ〜」
「伊織がそんなに頑張るなんてねぇ。御曹司くんも喜んでるんじゃない?」
「わかんないよ。足引っ張ってるだけだろうし」
お父さん…来られるんだよね。
まだ会ったこともないのに、なんだかすごく緊張する。
それに怖い。
「御曹司くんのお父さんだっけ?今はそんなこと気にせず、せっかくのダンスパーティー、楽しまなきゃ」
みっちゃんの言葉に助けられる。
「そいえば、今日どんな服着るの?」
はっ!!!!
「なに着よう…」
なにも考えてなかった!!
私清楚な服とか持ってなかった!!
「考えてなかったの?」
「どうしよう!バイト代の範囲で買えるもの買わなきゃ!!」
終業式が終わり、みっちゃんにバイバイして私は急いで学校を後にする。
プップーッ!!
後ろから車のクラクションが聞こえた。
私!?
少し端によると、隣に車が停まった。
あ、この車は
ウィーーン
「なにしてんだよ、迎えに行ったらいねぇし連絡もとらねぇし」
車の窓が開き、お怒りモードの暁斗くん。
「だっだって服買いに行かなきゃだし」
「は?」
「パーティーの洋服!私、綺麗な服とか持ってないし…バイト代で買える範囲になるけど…」
お母さんたちに渡す分もあるから、これからさらに節約して……
「買わなくていい。もう用意してるから。早く車乗れ」
「え…」
ガチャッ
「伊織様、どうぞ」
飯田さんにドアを開けてもらい、車に乗る。
ぎゅっ
また手を握ってくれた。
「ったく…目を離すとすぐどっか行くんだなお前は」
ドキドキーー…
握られた手から伝わる暁斗くんの体温。
やだ、なんでこんなドキドキするの。
最近の私、おかしいよ。
「首輪でもつけるしかねぇか」
「はっ!?首…!?」
イタズラな悪い笑顔でこっちを見る。
そんな笑顔にもドキドキしてしまう。
こんな悪魔で俺様でキモ野郎に。