大嫌いな王子様 ー前編ー

ep.6 ダンスパーティーとイヴな日 2nd.


しばらく司会の方のご挨拶が続き

「では、本日の審査員の方々をご紹介いたします」


きた。

暁斗くんのお父さんが出てくる。



3人の審査員が出てきて


「最後の方です。皆実義弘さんです」


わぁー…

他の審査員の時にはなかった、少し周りがざわつく反応。



この人が、暁斗くんのお父さん。。

ドクンドクンッ


緊張で鼓動が速くなる。




「すげー。皆実グループの会長のお出ましだぞ」

「暁斗様のお父様だわー!」

「審査員をするなんて珍しいな」


周りはお父さんの話題でもちきり。



「父親が審査員ってことはさぁ、もうコネで優勝確定なんじゃね?」

「あー、だからあんな下手な奴と組んでんのか」


はぁ!!??
言わせておけば好き勝手言いやがって!!

「ちょっと…!」

「いい」


暁斗くんに止められた。


「なんで!?あんなこと言われて…腹立つじゃん」

「言わしておけばいい」


どうして…


「私のことはいいんです。だけど、暁斗くんが頑張ってたことを否定されるのが許せなくて…」


じわっと涙が目に浮かぶ。
人のことでこんなにも腹が立ったのは初めてかもしれない。



暁斗くんは、胸元に入っていたハンカチを取り私の涙を拭ってくれた。




「サンキュ。いおがわかってくれてたらそれでいいから」


また、キモ野郎から王子モードへ一気に変身する。
何十人格あるんだ?



「泣いたら、せっかく綺麗なのに化粧が取れる」


かぁぁ!!!

綺麗!!??
綺麗って言った!?
今、言ったよね!?




〜♪

「お、始まるぞ」

少し浮かれてしまった気分もどこへやら。


とうとう始まる、ダンスパーティー。


震える手と足。
暁斗くんに迷惑をかけたらどうしよう。




「お姫様」

えっ…

「僕と踊ってくれますか?」


暁斗くんってほんとにわかんない。

今、絶対私の不安を見透かしてるよね?
だから、そんな柄にもないこと言ってくれたんだよね?



「喜んで」

私たちは手を取り合った。



「暁斗くん、もう一度今のセリフをお願いします」

「2度と言わねぇ」


ほら、やっぱりいつもの暁斗くんだ。



だけど、さっきまでの不安はなくなった。
暁斗くんの魔法の言葉のおかげで。



絶対、暁おと←(暁斗くんのお父さんは呼び名が長く疲れるので、略すことにした) に認めてもらうんだ!!
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