大嫌いな王子様

ep.8 勤労少女のクリスマス



「…はっ!!!!」


え!!寝てた!?
わたし、寝てた!?


キョロキョロ
あたりを見回す。


私の部屋だ。


時計を見ると13時半過ぎ。


ん?
何してたっけ?



確か暁おとに遭遇してしまって…

いや、でもなんで今寝てるの?


夢だった?
えらくリアルな。。。


“汚いネズミ”

脳裏に蘇る暁おとに言われた言葉。
いや、夢じゃない。



早く、出ていく準備をしなきゃ。





ガチャッ

そんな時、いきなり開いた部屋のドア。




「起きたか」


「あ、暁斗くん!」


いきなりの暁斗くん登場に、動揺が加速する。


「泣き疲れたて寝てたぞ」

やっぱり!!
うわ〜穴があったら入りたい。。



じっ

そして、いきなりのドアップ。

近すぎるから!!!



「これ使え」

「えっと…冷やすやつですか?」


「そ。目、やっぱちょっと腫れてる」


泣いちゃったからだ。

暁斗くんたちの前で大泣きしちゃったんだ……




「恥ずかしいところを…それにたくさん迷惑かけてごめんなさい」


あーあ、私ってば何してるんだろ



「あの、すぐ出て行きますから。住むところも仕事もすぐ探します」


のんびりしちゃいられない。



私はベッドから出ようとした。


「ダメだ」


それを暁斗くんに阻止される。


「俺のそばにいるっつったろ?」

「でも!それはもう無理だから…!」

こんな時に何言ってー…!



「いればいいんだよ」

どんな時も俺様なんだから。


「それじゃ暁斗くんたちに迷惑がかかってばかり…」

言葉に詰まる。




「あのな」

ベッドに腰掛けていた暁斗くんが、こっち側へ体を向けた拍子に少しバランスを崩した。


「ひゃっ」

そのせいで暁斗くんが私の方へ倒れてきて、私はベッドに倒れ、暁斗くんはそんな私に覆い被さるようになった。



見下ろされてる。。

なに、これ。
ドキドキがヤバくて、心臓が痛くなってきた。



「迷惑かどうかは俺が決めるんだよ。お前が決めることじゃない」


下から見る暁斗くんも、やっぱりかっこいい。

こんな時にまでこんなことを考える私は、煩悩の塊なのかもしれない。




ドキッ!!

暁斗くんが私の髪に触れる。


なに、なに、なに!!??
わかんない、この状況!!

あれ!?
息ってどうやってるんだっけ!?

吸っていいんだっけ
吐くんだっけ


頭の中はパニック。



ギシッー…

暁斗くんはゆっくりと起き上がった。



「お前、今日は午後から休みな。15時に出かけるから用意しとけ」


「そんな…!」

「雇い主の命令♪」


あ、笑った。
イタズラな笑顔。


「あとで迎えに来るから。とびっきりオシャレしとけ」


あー、やだ。
こんな恋愛経験値ゼロ、いやマイナスの私でも自覚しちゃうじゃない



「部屋の掃除、ありがとな」


そう言って、暁斗くんは私の部屋から出て行った。




オシャレ……

服、全然ない!!
メイクの仕方わかんない!!!

どうしようーー!!!
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