大嫌いな王子様
うーわ、寒っ
アイツ、なにしてんだ?
「いお」
俺の声に気づいてこっちに振り向く。
「暁斗くん!」
そんな無邪気に笑うから、不意打ち過ぎて戸惑う。
そろそろ自覚するか。
認めなくちゃいけない。
「アンディーが話したいらしい。来い」
少しでも触れたいって思うのは俺だけだろうな。
「Oh‼︎イオ?紹介が遅れてごめんなさい!私はアンドレア・マーク。ニックネームでアンディーと呼ばれてるわ」
わわわ!
間近で見ると、よりお美しい。。
「こ、こちらこそご挨拶が遅れて申し訳ありません!阿部伊織と言います」
「イオリね!可愛い名前ね」
名前を褒められると嬉しい。
「アンディーさん…日本語とても上手ですね」
「私、高校生の頃まで日本で育ったのよ。だから今は4ヶ国語話せるわ」
わー、また異次元
「アキは5ヶ国語だったかしら?イタリア語もドイツ語も出来るものね」
やっぱ普通の人じゃない。暁斗くんは。
「俺のことはどうでもいいんだよ」
照れてるのかな?
「暁斗くん、照れてますね」
「黙れ」
悪魔モードオンになった!
もうどんなモードでも焦らないぐらい慣れてきた。
それから少しお喋りをして、とうとうアンディーさんの帰る時間に。
「また来るわ」
「あの…アンディーさん、今日は私にまでお話ししてくれてありがとうございました」
すごく嬉しかった。
「Oh!!!イオリ、可愛すぎる♡♡I love you〜♡♡」
アンディーさんがハグをしてくれた。
その時にぼそっと耳打ちをされた。
ドキッ!
私はアンディーさんの顔を見る。
アンディーさんは人差し指を自分の口にあてて、しーっとジェスチャーをした。
「Bye〜!!!」
アンディーさんは帰っていった。
「相変わらず騒がしい奴だな。疲れた」
「アンディー様、とても楽しそうでございました」
「アイツはいっつもあんなテンションだよ」
よく知ってるんだなぁ、アンディーさんのこと。
「ちょっと部屋で休むわ。いお、適当に飲み物持ってきて」
「あっはい!わかりました」
アンディーさんに耳打ちされた言葉がぐるぐる回る。