大嫌いな王子様 ー前編ー

ep.11 坊っちゃまとの恋愛とは…!?


「俺と付き合って、いお」


頭の中でエンドレスリピートをさせる。
これが最近の私の日課。



「あのさ!いい加減ウザイから現実戻りな!」

バンッと机を叩かれ、ハッとなる。


「みっちゃん!」

「あんたさ、せっかく付き合えたのに次の日から全く相手されなくてヘコんでんのはわかるけど、現実逃避し過ぎ」


「だっだって、そうでもしなきゃ実感がカケラもないんだもん」

「御曹司と付き合えてるんだから我慢しな」

「みっちゃん、冷たい」


そう。
時は過ぎて3学期が始まった。


みっちゃんに暁斗くんとのことを報告した。
そして、、、相談。


そうー…

あの元旦の日、まさかのまさか暁斗くんと付き合えることになり、もう私のテンションは最高潮。
気持ちもふわふわして、たぶん足も宙に浮いてたんじゃないかと思うほど。


だけど!!


次の日もその次の日も、、というかそれからずっと挨拶ぐらいしか出来ず
少し話しかけてみると


「は?それ今話さないといけないことか?」

「無理。出てけ」

e.t.c...

なかなかのハード!!
付き合う前より冷たくなってる!!



「まぁ、暁斗くんにとっては通常運転なんだろうけどね」


「御曹司くん、同い年なのにバリバリ仕事しててすごいね」


本当に。
いつ勉強してるんだろうって思う。


「暁斗くんの大変さを考えずに浮かれ過ぎてたな…私」

自分にため息が出る。



「普通じゃない?初恋で初彼でしょ?浮かれない奴いないよ。しかもあんなイケメン御曹司くん」

「性格は俺様悪魔のキモ野郎だよ」

「全部顔で清算されてるから大丈夫」


浮かれない奴はいない…か。。


「付き合うって何なんだろう。よく考えたらわかんないなと思って」

「そんなの、好き同士なんだからやることやるでしょ?」


やること……

「わぁぁ!!バカ!!変態!!」

「は?誰がバカって?」


もう!そういうことじゃなくて…!!


「まぁ冗談はさておき、気を遣い過ぎないようにね?伊織すぐ我慢しようとするから」

「みっちゃん…」

「わがままは言わなきゃだよ。彼女なんだから」


う〜!!

「わーー!ありがとう!!」

私はみっちゃんに抱きついた。


「早くもっと仲良くなって御曹司くんにコンパひらいてもらって♪」

「・・・みっちゃん、彼氏いるよね」

「それとこれとは別だから♡」


やっぱりみっちゃんはみっちゃんだ。




—————————

下校中。

渡されたスマホだって、全然鳴らない。
付き合うって言葉だけなの?


いやいやいや!!
暁斗くんは忙しいんだから。
わがまま言っちゃいけない。
私は頭をブンブン横に振ったり、しゃがんだりを繰り返していた。
周りから人は引いていく。


「変質者で捕まるぞ」


え……

今、暁斗くんの声が聞こえたような

あー、私とうとう空耳まで


私は一度止めた足を進めた。



「は?無視かよ」


空耳じゃない?


バッと後ろを向くと、暁斗くんがいた。



「な、なんで!?」

「お前の学校行ったらもう帰ったっつーから」

「誰に聞いたんですか…?」

「たまたま会ったいおの友達」


みっちゃんか!!



ぽすっ
私の頭に手を乗せる暁斗くん。


「連絡ぐらいしろ」

あ…そっか
私、暁斗くんからの連絡ばかり待ってたけど、私からしてもいいんだ。


「えへへ!はい!」

「キモイ」

キモ野郎全開だけど、こうして迎えに来てくれたのがすごく嬉しい。


「そういえば飯田さんは?歩きで帰るなんて珍しいですね」


「別にいいだろ」


一緒に並んで歩けるだけで、こんなに嬉しいんだ。
幸せになるんだ。
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