大嫌いな王子様 ー前編ー
あー、ビックリした。
佐伯くんに会ってからドタバタだなぁ。
「おい」
あ、忘れてた。
後頭部、ぶつけた人だ。(全然心配してない)
「なにが欲しいんだよ?」
「へ??なにって??」
「取ってやる。選べ」
あ!UFOキャッチャーのことを言ってるの!?
UFOキャッチャー難しいのに…そこをこうして強気で言える所、尊敬する。
「じゃあ…これが欲しいです。2つ」
「欲張りだな」
やっと笑ってくれた。
「あ…ありがとうございます」
有言実行男。
ただものではない。
しかもたった5回で。
私が頼んだのは、星のチャームを2つ。
「暁斗くん、はい」
自分で取ったんじゃないのに。
「今日の思い出に♪お揃い」
憧れのお揃い。
勝手に押し付けちゃって迷惑だろうけど、せめて持ってて欲しいな。
「暁斗くんに取ってもらって、自分ではなにもしてないけど」
「初ゲーセン記念日だね」
なんか揉めたりもしたけど、私にとってはやっぱり大切な思い出。
「あ、でも初100均記念日でもあるなぁ」
ぶつぶつ言っていると、顎クイをされた。
ちゅっ
軽い一瞬だけのキス。
だけど、その後の優しくて可愛過ぎる笑顔とのWパンチで私は失神寸前。
周りからキャーッと女の子たちの声も聞こえる。
「暁斗くん‼︎人前とか恥ずかしくないんですか!?」
「誰も俺らに興味ねーよ」
いや!私には興味ゼロというかマイナスだろうけど!!
あなたに周りが興味あるんですよ!!
自覚してー!!!
「そろそろ帰るか」
暁斗くん、キス多い気がする。
もしや……キス魔とか!?
「とっとと歩け」
はい、さっきとは別人の俺様に戻りました。
なんかこっちの方がもはや安心するなぁ。
「暁斗くん!!そういえば肝心のお買い物は!?」
「なに買うか忘れたからいらねー」
「そんな…!!」
まだまだ、たくさんあなたに振り回されるんだろうな。
でも、それが心地良くもあるのは秘密にしとこ。