大嫌いな王子様 ー前編ー

あー、ビックリした。
佐伯くんに会ってからドタバタだなぁ。



「おい」

あ、忘れてた。
後頭部、ぶつけた人だ。(全然心配してない)


「なにが欲しいんだよ?」

「へ??なにって??」


「取ってやる。選べ」


あ!UFOキャッチャーのことを言ってるの!?

UFOキャッチャー難しいのに…そこをこうして強気で言える所、尊敬する。


「じゃあ…これが欲しいです。2つ」

「欲張りだな」

やっと笑ってくれた。




「あ…ありがとうございます」

有言実行男。
ただものではない。

しかもたった5回で。



私が頼んだのは、星のチャームを2つ。


「暁斗くん、はい」

自分で取ったんじゃないのに。



「今日の思い出に♪お揃い」


憧れのお揃い。
勝手に押し付けちゃって迷惑だろうけど、せめて持ってて欲しいな。


「暁斗くんに取ってもらって、自分ではなにもしてないけど」


「初ゲーセン記念日だね」


なんか揉めたりもしたけど、私にとってはやっぱり大切な思い出。



「あ、でも初100均記念日でもあるなぁ」

ぶつぶつ言っていると、顎クイをされた。



ちゅっ

軽い一瞬だけのキス。


だけど、その後の優しくて可愛過ぎる笑顔とのWパンチで私は失神寸前。


周りからキャーッと女の子たちの声も聞こえる。



「暁斗くん‼︎人前とか恥ずかしくないんですか!?」

「誰も俺らに興味ねーよ」


いや!私には興味ゼロというかマイナスだろうけど!!
あなたに周りが興味あるんですよ!!

自覚してー!!!


「そろそろ帰るか」


暁斗くん、キス多い気がする。
もしや……キス魔とか!?



「とっとと歩け」


はい、さっきとは別人の俺様に戻りました。
なんかこっちの方がもはや安心するなぁ。



「暁斗くん!!そういえば肝心のお買い物は!?」

「なに買うか忘れたからいらねー」

「そんな…!!」


まだまだ、たくさんあなたに振り回されるんだろうな。
でも、それが心地良くもあるのは秘密にしとこ。
< 65 / 139 >

この作品をシェア

pagetop