お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
「瑞希。今度、出かけましょうか?」
「ふぇ? ん、んぅ……あっ」
「結婚式が予定よりも早まったので、ここ最近準備に追われてばかりで忙しかったですし息抜きも兼ねて出掛けませんか?」
「も……そこ、やぁっ」

 彼の気遣いは嬉しいが話しながら体を触るのはやめてほしい。康弘はくすくす笑いながら、瑞希の鎖骨に舌を這わせた。

「それにウェディングドレスもお母様のを手直しして着ることになったでしょう。親から子へ受け継げるのは素晴らしいことではありますが、俺としては瑞希に似合うものを一からフルオーダーしたかったんです。俺好みに着飾らせて、それを脱がせたかったのに……」
「……あっ!」
「もちろん白い服ならウェディングドレスより白衣のほうが好きなのは分かってますが、俺は瑞希に服を贈りたいんです。許してくれますか?」

 真っ赤になった瑞希の頬に手を添えながら、ニコリと微笑む康弘になんと返していか分からず、瑞希は目を逸らした。その瞬間、太ももの外側を撫でていた手が内側にすべる。

「……っ!」

 これ以上は駄目だ。これ以上すると歯止めが効かなくなる。
 瑞希は不埒な康弘の手をがしっと掴んで叫んだ。

「ス、ストップ! ほ、本当にこれ以上は駄目です。康弘さんは私がお腹を空かせたまま午後の仕事にいかなきゃならなくなってもいいんですか?」
「それは困りますね」

 パッと手を離してくれる彼の膝から、ふらつきながら降りる。すかさず支えてくれる彼にお礼を言おうとすると、頬にちゅっとキスをされた。

(もう! 油断も隙もないんだから……!)

「瑞希。それより先ほどの返事は?」
「え? えっと……お出掛けできるは嬉しいけど、脱がせるための服をわざわざ仕立てるのは嫌です。そんなのお金の無駄ですし。……エッチ用の服が欲しいなら、通販でセクシーなランジェリーでも買えばいいでしょ。それなら着てあげますから」
「瑞希は知らないんですか? 男が女性に服をプレゼントするのは脱がせるためなんですよ。だから無駄なんてことは絶対にあり得ない。でも着てもいいという言葉をもらえたので、今回はそれで譲歩してあげます」

 そんなに自信満々に言わないでほしい。
 瑞希は、スマートフォンで下着の通販のページを見ながらとても楽しそうに選びはじめた康弘に冷ややかな視線を送り嘆息した。

「康弘さんのエッチ……」
「なんとでもどうぞ」

 何を言っても無駄そうなので、瑞希はもう放っておいてお弁当を食べることにした。

(せっかく温めたのにお弁当冷えちゃってる……)
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