お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
「社長……何をされているんですか? セクハラはちょっと……」
「なっ、違う! セクハラではない。ただ単に顔を見て話がしたいと頼んでいただけだ」
「ならいいのですが……。でも、かなり強引に迫っているように見えたので、気をつけてくださいね」

 まさかセクハラと指摘されるとは思わなかったのだろう。露口が激しく狼狽えている。その姿を見てクスッと笑うと、露口が瑞希のほうに体を向けて頭を下げた。

(えっ!?)

「すみませんでした。そんなつもりではなかったんです。誤解をさせたなら……」
「あー! いいえ! そんなふうに思っていないので大丈夫です。今後気をつけていただけたら、私はそれでいいので」

 とても申し訳なさそうに謝ってくる彼の言葉を遮って、顔の前で手を振る。

(なんだ……素直なところもあるのね……)

 見合いの席でも先ほどのエレベーターの中でも、あまりにも強引なので人の話を聞かないタイプかと思っていたが、そうではないようだ。瑞希は意外な一面を見て警戒心が少し緩んだ。
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