お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
「返事はもらえないんですか?」
「だ、だって……康弘さんが、急に驚かせるから……。も、もうすぐ、結婚式って時に、こんなふうに……してもらえるなんて、思ってなくて……。うう、康弘さんの馬鹿。好きです。絶対に幸せにしますから」
「それは俺のセリフです。瑞希……どんな時でも誠実に貴方に尽くします。必ず幸せにすると誓いますから、俺と結婚してください」
「はい!」

 返事と共に膝をついている康弘に飛びつくと、受け止めて力強く抱きしめてくれる。そして唇がしっかりと重なり合った。そのまま夢中でキスを交わす。

「んっ、ふぁ……んんっ」

 口内を味わい尽くすかのように這い回る康弘の舌に食べられてしまいそうな錯覚を生む。縋るように康弘のシャツを掴むと、ゆっくりと唇が離れた。

 康弘に身を預けて呼吸を整えていると優しく背中をさすってくれる。

「康弘さん……」
「瑞希、昼の続きをしませんか?」
「はい」

 こくんと頷くと、そのまま抱き上げてくれる。すでに力が入らない瑞希は為すがままだ。彼は宝物でも運ぶかのように大切にゆっくりと寝室まで運んでくれた。

 運ばれていく時も左手に輝く指輪が目に入って自然と頬が緩む。

(うふふ、嬉しい……)

 ベッドにおろし覆い被さってくる彼の心地良い重みに、そっと目を閉じて首に手を回した。
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