お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
「私、康弘さんを大好きなのと同じくらい露口製薬が大好きなんです。最初は勤務先の社長なんてと思いましたけど……今ではそれで良かったと思っています。だって、これからは貴方の妻として、そして研究者として、康弘さんと会社を支えられるんだもの。私だって康弘さんがいないともう駄目です。だから、これからは私にも康弘さんの大切なものを守らせてください。愛しています」
「瑞希……」

 恋ではなく愛し合おうと言ってくれたとおり、瑞希の中に――いや、二人の間にそれが生まれた。
 優しくて温かくて時に苦しく、途方もなく愛おしい大切なもの。研究室にこもって顕微鏡を覗いているだけじゃ気づけなかった多くのことを教えてくれたこの人を支えられるような人間になりたい。

「ありがとうございます。俺も瑞希の大切なものを守りたい。これから先間違うことやそれにより喧嘩をすることもあるでしょうが、そのたびにちゃんと向き合って話し合って、常に貴方の想いに触れさせてください」
「康弘さん!」

 瑞希が感極まって泣き出すと、きつく抱き締めてくれる。そのまま噛みつくようにキスをされ、彼の舌が口内に入ってきた。
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