お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
結婚式
(ああ、いよいよだわ。緊張してきちゃった……)
清々しいほどに晴れ渡り、空気が澄んだ青空が美しい今日――瑞希と康弘は結婚する。天気までもが応援してくれているんじゃないかと思えるくらいの結婚式日和だ。
(雨の日の結婚式は幸運をもたらすなんて言うけど、やっぱり晴れたほうがいいものね)
瑞希は式場の新婦控え室で何度も深呼吸を繰り返した。緊張と嬉しさが綯い交ぜになり心がそわそわと落ち着かない。幸せを感じて自然と顔が綻んだ瞬間には、失敗したらどうしようと不安になる。
「心臓が口から出てきそう」
「もう。すごく綺麗なんだから自信持ちなさいよ。失敗したって別にいいじゃないの。どんと構えてなさい」
「そういうわけにはいかないわ。私たちの結婚式は両家の結びつきが強くなったと示すためでもあるから、多くの企業の方々が招かれているのよ」
背中を叩いて励ましてくれる知紗に弱音が漏れる。
そう。瑞希と康弘は厳密にいうと政略結婚だ。それによる業務提携や利益拡大。どの企業も興味津々だろう。この機会に両社とさらに関係を深めるべく必死に違いない。
(その中で失敗なんて絶対できないわ。少しでも弱みを見せたらおしまいだもの)
上品な笑顔を張りつけて腹の探り合いばかりのパーティーは幼い頃から苦手だった。八歳頃から徐々に出席しなくなり中学に入る頃には実家主催のパーティーにすら顔を出さなくなっていた。そのせいで康弘とも会う機会がなくなり、次第に忘れてしまっていたのだと思う。
(これからはそうじゃいけないわ。露口製薬主催のパーティーだって、うまくやり遂げてみせるんだから)
これはそのための第一歩だ。それに康弘のためと思えばどんなことだって頑張れる。
瑞希が密かに闘志を燃やしていると、天崎が瑞希の背中に香水をつけてくれる。お礼を言おうとすると、ウェディングドレスのスカートを捲りあげてきた。
「ちょ、ちょっと何するのよ!」
「香水をつけようと思って」
「それは分かるけど……どうしてスカートを捲るの?」
「そりゃだって下半身につけると、初夜の時にふわっと香って盛り上がるかなと思いまして……」
彼女の言葉にギョッとする。
清々しいほどに晴れ渡り、空気が澄んだ青空が美しい今日――瑞希と康弘は結婚する。天気までもが応援してくれているんじゃないかと思えるくらいの結婚式日和だ。
(雨の日の結婚式は幸運をもたらすなんて言うけど、やっぱり晴れたほうがいいものね)
瑞希は式場の新婦控え室で何度も深呼吸を繰り返した。緊張と嬉しさが綯い交ぜになり心がそわそわと落ち着かない。幸せを感じて自然と顔が綻んだ瞬間には、失敗したらどうしようと不安になる。
「心臓が口から出てきそう」
「もう。すごく綺麗なんだから自信持ちなさいよ。失敗したって別にいいじゃないの。どんと構えてなさい」
「そういうわけにはいかないわ。私たちの結婚式は両家の結びつきが強くなったと示すためでもあるから、多くの企業の方々が招かれているのよ」
背中を叩いて励ましてくれる知紗に弱音が漏れる。
そう。瑞希と康弘は厳密にいうと政略結婚だ。それによる業務提携や利益拡大。どの企業も興味津々だろう。この機会に両社とさらに関係を深めるべく必死に違いない。
(その中で失敗なんて絶対できないわ。少しでも弱みを見せたらおしまいだもの)
上品な笑顔を張りつけて腹の探り合いばかりのパーティーは幼い頃から苦手だった。八歳頃から徐々に出席しなくなり中学に入る頃には実家主催のパーティーにすら顔を出さなくなっていた。そのせいで康弘とも会う機会がなくなり、次第に忘れてしまっていたのだと思う。
(これからはそうじゃいけないわ。露口製薬主催のパーティーだって、うまくやり遂げてみせるんだから)
これはそのための第一歩だ。それに康弘のためと思えばどんなことだって頑張れる。
瑞希が密かに闘志を燃やしていると、天崎が瑞希の背中に香水をつけてくれる。お礼を言おうとすると、ウェディングドレスのスカートを捲りあげてきた。
「ちょ、ちょっと何するのよ!」
「香水をつけようと思って」
「それは分かるけど……どうしてスカートを捲るの?」
「そりゃだって下半身につけると、初夜の時にふわっと香って盛り上がるかなと思いまして……」
彼女の言葉にギョッとする。