お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
 事の起こりは一週間半前――
 仕事漬けの娘の身を案じた両親が見合い話を持ってきた。冗談じゃないと一蹴するも、大学以降恋人がいない瑞希が心配なんだと必死の説得攻撃にあい、うっかり頷いてしまったのだ。

(だって……このまま仕事一筋に生きていたら孤独死一直線だとか大袈裟すぎること言って泣くんだもの)

 正直なところ極端すぎて何と切り返したらよいか分からず、負けたというのが大きい。だからと言って、簡単に頷いてはいけなかった。何より最初から断るつもりでいたので、相手の情報を一切聞いていない。

(ど、どうしよう。社長は私の勤務先が自分の会社だって知ってて、お見合いに来たのかな?)

 知っているのと知らないのとでは、これからの対応に大きく差が出てくる。
 社長が平社員の顔を知っている確率はほぼゼロに近いだろうが、父から聞いているなら話は変わってくる。
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