お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
「原田さん、突然どうしたんですか?」
「ごめんなさい。なんだか急に動悸が……」

 彼のとても驚いた表情に誤魔化すようにえへへと笑うと、露口の手が頬に伸びてきて心配そうにさする。

「自分の体をもう少し大切にしてください。顔を叩くなんて、原田さん本人といえど今後は許可できません」
「許可って……。自分の頬なのに社長に許してもらわないといけないんですか?」

 彼の言葉を茶化すと、彼が真顔で頷いた。その真摯な目に何も言えなくなる。

(えっと……心配してくれているのよね?)

 なんだか照れ臭くなって目を伏せると、社長が顔を覗きこんできて考えるより先に後退ってしまう。

「……っ!」
「良かった。赤くなったりしていませんね」
「べ、別にそんなに強く叩いたりしていませんから」

(これは現実。夢とは違うのよ!)

「そうですか。それを聞けて安心しました。そういえば原田さんは、仕事中はメイクをしないタイプなんですか?」
「はい?」

 必死な思いで自分に言い聞かせていた時、予想外の言葉が飛んできて一瞬思考が止まった。しかし、彼はそんな瑞希の動揺などお構いなしに、まだ瑞希の頬をさすっている。

「もちろん今のままでも可愛らしいのですが、メイクをしたところも見てみたいなと思いまして」

(え? え……そ、それって……私がお見合い相手かどうか確認したいってこと?)

 近頃普通に挨拶を交わすだけだったので油断していた。

 まだ諦めていなかったのか……
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