お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
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「へぇ、消炎作用があるアラントインを配合してるのね。しっとりとしていてリッチな感触が好きかも」
「こっちは超微細ナノカプセル化技術を採用してるから潤い保持成分がたっぷりと取れそうよ」

 昼休み、成分表を見ながら知紗たちと基礎化粧品を試す。わいわいと化粧水や乳液を手に取っていると天崎がずいっと身を乗り出してきた。

「そうなんですよ。角層の深部までじっくり入っていくから外部刺激も受けにくくなるので、原田さんにはおすすめですよ。確か肌が弱いんですよね?」
「へ? 別に弱くないけど……」
「……え? おかしいですね。確かにそう聞いたんですが……」

(私、そんなこと言ったかしら?)

 首を傾げると天崎も首を傾げる。すると、知紗が天崎の手を引っ張った。


「ねぇ、私にもおすすめ教えてよ。鼻やおでこはベタついてるのに頬とか口元はかさつくの。混合肌っぽいんだけど、今回の中だとどれが一番いいかな?」
「えっと、それなら……」

 知紗のカウンセリングを始めた天崎を見ながら、おすすめされた化粧水をジッと見る。

(確かにこれすごくいいのよね。これが合うってことはやっぱり天崎さんの言うとおりなのかな)

 自分的には肌が弱くなかったつもりだが、化粧品の研究員(プロ)がそう言うのならそうかもしれないと勝手に納得した。
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