お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
「俺に見つかったら無理矢理結婚させられると思いましたか?」
「はい……」
「貴方が政略結婚を嫌っているのは知っています。俺たちの結婚に企業間の利益が絡むことも否定しません。ですが、俺は利益よりも貴方との関係を大切にしたい」
「どういう意味ですか?」
「貴方と接して感じた心のほうを大切にしたいということです。俺は原田さんに運命を感じているんですが貴方は違うんですか? 普通見合い相手が社長と社員だったなんて、そうそうないと思いますよ?」

 困ったように笑いながら髪に触れる彼に、なんと答えていいか分からなくて……整理のつかないまま自分の気持ちを話しはじめた。

「お見合いで……運命的な恋をしたいと言ったけど、実はあれ嘘なんです。私、もう恋はしないと決めているんです。社長が誠実な人だというのは、貴方と接してみてよく分かりました。噂みたいな人じゃなく、すごく優しいというのも今は知っています。でも、私もう恋はしないんです」
「ならば、愛せばいい」
「は……い?」

 予想もしていなかった言葉が返ってきて、キョトンとする。
 瑞希が目を大きく見開いたまま呆気にとられていると、露口がカールアイロンを置いた。そして、「できましたよ」いう声と共に鏡を渡してくれる。

「わぁ!」

(すごい……!)

 脅しどおりの縦ロールじゃなくて、ゆるくふんわりと巻かれていてメイクと合っていた。鏡を見て感嘆の声を漏らすと、露口が膝をつく。ぎこちなく彼のほうに体ごと向けると、彼の手が頬に伸びてきた。
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