お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
「唇を噛んではいけません。傷になる。以前、言ったでしょう。許可できませんって」
「社長……」
「貴方の気持ちはよく分かりました。そのようなことがあれば男性を信じられなくなり、新しい恋に踏み出せなくなっても無理がないと思います。ですが、安心してください。貴方を傷つけてのうのうと生きているクズ男は必ず見つけ出して処すので」
「しょ、処す!?」

 とても真剣な露口の表情(かお)に泣いていたのも忘れて、つい噴き出してしまう。

「も、もうやだ。社長ったら。そんなことしなくていいです」
「ですが……」
「こうやって話を聞いて、そう言ってくれただけで充分です。救われました。ありがとうございます」

 露口の胸から顔を上げてニッコリと微笑むと、彼の手が瑞希の頬に触れた。
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