お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
「原田さん……いいえ、瑞希さん。貴方を必ず幸せにすると誓います。もちろん結婚や出産で不安になる気持ちも分かります。ですが、貴方が積み上げてきたキャリアは決して失われることはないとお約束します。俺に未来を預けてみませんか?」
「未来を預ける……?」
「お恥ずかしい話、父との関係があまりよくありません。本当なら貴方の気持ちが追いつくのを待ちたいのですが、そうはいきません。すぐに貴方からいい返事をもらえなければ、俺はまた見合いをさせられてしまう。でも、俺は貴方以外は嫌だ。貴方と結婚したい。瑞希さん、お願いします。俺を選んでください。損はさせませんので」

 ストレートな言葉に赤面してしまう。
 彼の話を聞きながら、そういえば桜井が――露口が会長のお気に入りの部下を辞めさせたと言っていたことを思い出す。

(そっか。あれ以来、お父様と仲が悪くなってしまったのね)

 今の働きやすい環境は親子間の仲違いにより得られたものなんだと思うと、そんなの知らないと突っぱねることができなかった。

「じゃ、じゃあ、社長がもうお見合いしなくていいように、会長が諦めるまで偽装婚約でもしますか? それなら協力できそうです」
「偽装? 俺は偽装なんて嫌です」

 ぎゅうっと痛いくらいに抱きついてきて駄々を捏ねる露口に「でも私、結婚は……」と返答に窮す。
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