お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
「瑞希。瑞希ってば……起きて。飲みすぎよ……」
「……ん」

 ゆさゆさと揺すられる。まだ眠いのにと眉間に皺を寄せて、その手を無視した。すると、メニューでパシーンと頭を叩かれる。
 突如走る痛みに頭を押さえて小さく抗議の声を上げた。

「痛っ! 急に何するのよ」
「やっと起きた! 飲みすぎだし寝すぎなのよ! もうすぐ終電だから早く起きて」
「へ? もう終電? おかしいな。そんなに時間経った?」

 言われるほど飲んだつもりないのになとフワフワした頭で考えていると、知紗が立ち上がった。ゆっくりと顔を動かして彼女を見上げると、彼女が目の前に瑞希のスマートフォンを置く。

「迎えを呼ぼうと思って電源つけたら社長からの着信があったから、とりあえず社長に連絡しておいたわ。だから、あとは彼に送ってもらってね。私はもう帰るから」
「え……」

(社長に連絡した?)

 信じられない言葉が耳に響いて目を見張る。その瞬間、聞き慣れた声がして体がわなないた。

「相馬さん、連絡ありがとうございます。こんな時間に一人で帰るのは危険なので少し待ってください。秘書の市岡に送らせるので」
「ありがとうございます。瑞希のこと頼みますね」
「もちろんです。任せてください」

(え……?)

 康弘と知紗が話しているところを見ていると、眠気が覚めていく。

(どうして? どうしてここにいるの?)

 酔いのまわった頭ではうまく状況を理解できず目を瞬かせていると、康弘の手が肩に触れた。こわごわと見上げると彼の気遣わしげな視線と目が合う。
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