お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
「え? あ、あの……康弘さん……?」
「体調はどうですか?」
「も、もう大丈夫です。酔いは覚めました」
「なら良かった」

 そう言った途端、康弘の唇が触れた。突然キスされて体が強張るが、彼はそんな瑞希を見て楽しそうに笑いながら下唇を食む。そして唇の合わせ目を舌でなぞり隙間から舌をねじ込んでくる。

「んっ……」

 反射的に目を瞑り、彼の服を掴む。
 逃げたいが後頭部に手を添えられているのでできない。

「ま、待っ……ふ、ぅっ」
「瑞希」

 唇を少し離して囁かれると、吐息が唇を掠める。小さく震える体を抱き締めて、舌を絡めて強く吸われると、体がカッカしてきて熱くてたまらない。彼がくれる熱とキスの甘さが、じんわりと思考を濁らせる。

「ん……っ、んぅ」

 ようやく唇が解放された時には息が乱れていて、瑞希は彼のシャツをぎゅっと掴んで呼吸を整えようとした。

「や、康弘さん……」
「瑞希さん。お風呂の用意をしてくるので、少し待っていてください」
「は、はい……」

 どうしていいか分からず縋るように彼を見ると、そう言って頭を撫でてくれる。瑞希が小さな声で返事をすると、膝からおろしてくれた。

(ど、どうしよう……心臓が破裂しそう)

 緊張と恥ずかしさでどうにかなってしまいそうなのに、なぜかバスルームのほうに消えていく彼から目が離せなかった。
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