お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
「あの……私……別に未練があるわけじゃ……。あんな男、もう好きじゃないです……」
「なら、いいのですが……。ではなぜ恋をしたくないと考えていたのですか?」
「だって……不毛だから。時間の無駄だもの」

(どうして今、そんなこと聞くの?)

 最中にそんなことを聞いてくる康弘が嫌で彼の胸に手をついて押す。目一杯力を込めているはずなのに、手が震えているせいかうまく力が入らない。

 彼は瑞希が動けないのをいいことに、またキスしようとしてきた。顔を背けるが、いとも容易く奪われてしまう。

「あ、待っ……」

 逃げることを許さないとばかりに強引に舌が入ってくる。
 貪るような激しいキスなのに、どこか甘さがあって抵抗ができない。押しのけられるほど力がないのだ。


「では約束します。一年後、その考えは百八十度変わっていると――」
「やすひろさっ……ん、んんぅ」

(一年後……に考えが変わってる?)

 唇が離れたかと思うと答える間もなく、またキスされる。康弘とのキスに溺れそうになった時、彼が緩慢な動きで瑞希の着ているものを脱がしていった。
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