お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜

兄の訪問

「うう、体が重い……」

 それは酒のせいなのか、はたまた明け方まで離してくれなかったせいなのか……

 翌日、瑞希はベッドの上で小さく呻いた。

(康弘さんって元気よね……。寝なくて平気なのかしら)

 ごろんと寝返りを打ち、布団に抱きつく。

 会社は休みでも社長は色々と忙しいらしく、康弘は朝から元気よく仕事に出かけていった。

 そんな彼を見て、朝から驚かされたほどだ。
 瑞希は昨夜のセックスで体力を使い切ったというのに、どうやら彼はそうではなかったらしい。だが、体を休めないのは良くないことなので、帰ってきたら問答無用でベッドに放り込みたいと思う。


 瑞希は昼過ぎまで寝たあと怠い腰をさすりながら起き上がった。出かける前に、康弘が用意したから食べるようにと言っていた食事をとるために、ふらふらとキッチンへ向かう。

「あった。これだ……」

 キッチンにラップされて置かれている二つの歪な形のおにぎりを見つけて、つい笑みがこぼれる。その隣にはインスタントの味噌汁も置かれていた。


「ふふっ、可愛いおにぎり」

 不慣れなのに自分のために朝食を作ってくれたことが嬉しい。瑞希は温かい気持ちになって、形の悪いおにぎりを見つめた。

(でもちょっと安心した。ヘアセットどころか料理まで完璧だったら、女としてちょっと寂しいもの……)

「夕食はお礼に私が作ろう……痛っ」

 食事をダイニングテーブルに運ぼうとした時に腰に鈍い痛みが走って、前屈みになる。

(うう、腰が……)

 昨夜は帰宅や入浴などでスタートが遅かったというのもあるが朝までずっと離してくれなかった。そのせいで未だ体が怠い。
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