お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
「俺は兄弟がいないので、そんなにも仲が良いなんて羨ましいです」
(それに瑞希から度が過ぎていると言われるのも羨ましい)
兄だから当たり前かもしれないが、それだけ彼の愛情を信じている証でもある。
(俺に対しても無条件に信じさせて溺れさせたい……)
ふと湧いた感情に自分でも驚いた。ゆっくり愛を育みたいと言いながら、彼女がたとえ兄だとしても――ほかの男の前で自分の知らない一面を見せたことに嫉妬したのだ。
「そう? なら、今後は僕のこと義理の兄として慕ってくれていいよ。君とは是非仲良くしたい」
「ありが……」
「但し、テストにクリアできたらね」
(テスト?)
康弘の礼を遮り微笑んだ彼の表情に何やら背筋が寒くなる。すると、ニコリと笑った彼が康弘に封筒を渡し、耳打ちしてきた。
(え……)
「それは本当ですか?」
「本当だよ。詳しいことはその中を確認してくれれば分かるから」
思いがけず知らされたことに愕然としていると、瑞希が顔を覗き込んできた。彼女はとても不満げな顔をしている。
「テストって何ですか? 変なことなら断ってくださいね」
「変なことじゃないよ。瑞希を託すに相応しいかちゃんと確認しないと。じゃあ、あとはよろしくね」
そう言ってにこやかに去っていく彼の後ろ姿を見送りながら、渡された封筒を握り締めた。
(やはり至急、処さなければ……)
(それに瑞希から度が過ぎていると言われるのも羨ましい)
兄だから当たり前かもしれないが、それだけ彼の愛情を信じている証でもある。
(俺に対しても無条件に信じさせて溺れさせたい……)
ふと湧いた感情に自分でも驚いた。ゆっくり愛を育みたいと言いながら、彼女がたとえ兄だとしても――ほかの男の前で自分の知らない一面を見せたことに嫉妬したのだ。
「そう? なら、今後は僕のこと義理の兄として慕ってくれていいよ。君とは是非仲良くしたい」
「ありが……」
「但し、テストにクリアできたらね」
(テスト?)
康弘の礼を遮り微笑んだ彼の表情に何やら背筋が寒くなる。すると、ニコリと笑った彼が康弘に封筒を渡し、耳打ちしてきた。
(え……)
「それは本当ですか?」
「本当だよ。詳しいことはその中を確認してくれれば分かるから」
思いがけず知らされたことに愕然としていると、瑞希が顔を覗き込んできた。彼女はとても不満げな顔をしている。
「テストって何ですか? 変なことなら断ってくださいね」
「変なことじゃないよ。瑞希を託すに相応しいかちゃんと確認しないと。じゃあ、あとはよろしくね」
そう言ってにこやかに去っていく彼の後ろ姿を見送りながら、渡された封筒を握り締めた。
(やはり至急、処さなければ……)