お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
「瑞希。貴方は貴方が思っている以上に流されやすい。今だって押し倒されたら、逃げられないでしょう」
「で、でも……それは康弘さんだから……」
「俺が言うのもなんですが、当初……逃げると決めていたのにこうして俺と付き合っているあたり、貴方の言葉に説得力なんてありませんよ」
「う……。けどそれは……ちゃんと話したりすることで貴方を知れたから」

 小声でぼそぼそと反論する。まるで叱られているようで居心地が悪く、瑞希は顔を俯けて自分のつま先を見た。

(そんなに警戒心ないかな? 私だってバシッと決める時は決められるのに……)

「では安東とも改めて話し合い、彼が良い人に感じられれば貴方はどうするのですか?」
「……じゃ、じゃあ、康弘さんがついてきてください! そして私が間違った判断をしないか見張っておけばいいじゃないですか。それなら心配ないでしょ?」

 追い詰められている気分になって、瑞希が白旗を振ると康弘は厳しい表情のまま何かを考えはじめた。

(もうやだ。窒息しそう……!)
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