お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
「あの……お義父(とう)様」
「何だい?」
「不躾で大変申し訳ありませんが、康弘さんのことを認めてあげてくださいませんか? 昔を知らない私が言うのは説得力がないかもしれませんが、うちの会社……とても働きやすくて好きなんです。それは康弘さんの頑張りのおかげだと思います。確かにお義父様の大切な部下の方々を辞めさせてしまったかもしれませんが、結果のほうを正当に評価してあげてくださいませんか?」

 会長の目をジッと見据えると、会長が康弘をじっとりとした目で睨んだあと、小さく息を吐いた。

「別に認めていないわけではない。ただ康弘にはワンマンなところがあるのは事実だ。私はそこが気に食わん。だからこそ、そこを諌め正してくれる伴侶を見つけてほしいから見合いを勧めていただけで、別に憎くてやっていたわけではない。それなのに嫌がらせなどと言うから、瑞希さんが誤解するんだ」
「あんな自分のことしか見えていないワガママで横柄でプライドばかり高い女のどこに、諌め正してくれる要素があるんですか? 嫌がらせにほかならないでしょう!」
「よそのお嬢さんを悪く言うな、馬鹿者。だから、気のあう人が見つかるまで何回でも見合いをすればいいと言ってやっただろう」
「どこにそんな時間があるんですか……。俺は忙しいんです」
「それはお前が私の部下を辞めさせるからだろう!」

 二人の言い合いをぽかんと見つめる。
 こんなにも言いたいことを言いあえているのなら、心配の必要はなかったようだ。

(パパとお兄様もよく考えの違いで衝突してるものね)

 もう親の言いなりの子供じゃない。自分で考えて責任をもって判断ができるのだ。

 瑞希が二人を見ながら笑うと、会長がふんっと鼻を鳴らす。

「ふん。私のおかげで瑞希さんと出会えたのだから感謝してほしいものだな」
「そこは……確かに感謝していますが……。なら、最初から連れてきてください」
「それはお前の性格上、無理だ。最初から連れてきていれば、まともに相手にしなかっただろう。本命というものは、ある程度見合いに辟易したところで出さなければ意味がない」
「えっ!?」

 会長の得意げな表情にびっくりして、つい声が出てしまい慌てて口を手で覆う。

(ということは、パパと繋がっていたのは会長?)
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